三股から残雪期の常念岳へ
中央道安曇野ICから豊科方面へ。
県道495号線から国営アルプスあずみの公園を過ぎ、開いたばかりのゲートを通って三股へと向かう。
冬季に起きた崩落のため、三股の林道終点のある駐車場まで車を乗り入れることができなかった。
森の広場駐車場から歩いて10分ほど、三股駐車場へと到着した。
ニホンザルが多く、道路脇にチラホラと姿を見かけ、生息の跡が道路に多く散らばっている。
三股駐車場に一台も車が停まっていない景色も珍しい。
駐車場の奥にあるゲートから林道を歩いて登山口へと向かう。
この時点で予定と違う
10分とかからずに標高1300mほどの登山口に到着。
常念岳と蝶ヶ岳の登山口で、ここで登山届けを提出して山へと向かっていく。
登山口から常念岳方面へと入るとすぐに九十九折りの急登が始まる。
まだ落ち葉が多く、踏み固まっていない登山道のフカフカとした感触も気持ちが良い。
15分ほど登ったところで急登を過ぎるといったん登りが緩まり、蝶ヶ岳方面への迂回路を通り過ぎた。
右へ左へと折り返しながら、1時間ほど登ったところで登山道にも残雪が増えてきた。
登っていくほどに残雪は増え、登山道を多うように雪が積もっている。
高い段差などがある場所では雪の下が空洞化しているところもあり、足を乗せた瞬間に踏み抜くことも増えた。
木に括り付けられた常念岳へ5.2kmの看板を過ぎると、左手側の木々の合間から蝶ヶ岳が見えた。
残雪は増えていく一方で、先に歩かれた踏み跡はふたつ。
登山道をなぞるように続いていた踏み跡は、場所によっては急斜面を直登するように続き、さらには先に踏み抜いているところもある。
林道の閉鎖が開通した直後だからか、テープが見えづらいところもあった。
1時間半ほど登ると、樹林帯の向こうにも青空が見えてきた。
前常念へと続く尾根が近づいてきた雰囲気を感じながら、雪の上を踏み跡に沿って登っていく。
踏み跡がルートを外れてることもあって、それが良いのか悪いのか。。
前常念への尾根道
樹林帯の急斜面を登ること1時間52分、前常念へと続く尾根上に出た。
右側にはトラロープが張られ、正面に生えている木の根元には常念岳への方向が示されていた。
これまでの急な九十九折りはいったん緩まり、なだらかに下りと登りを繰り返しながらの尾根道が続く。
踏み抜きも少なく、残雪の上も歩きやすい。
チラホラと見える前常念が高いのです
5分ほど歩いたところで、前方に前常念が高く見えた。
なだらかな尾根上からは、まるで壁のように高く見える。
前常念への取り付きの手前で下り、一気に急斜面の登りに変わる。
枝の張った樹林帯を登り返していく。
眺望のない残雪の急斜面はひたすら我慢の続く登り坂で、樹林帯を抜けるまで約30分ほど。
前常念の手前で一気に眺望が開けた。
ここで糖質を入れようとコーラを取り出したらトクホでした。まさかの。
前常念の登りは苦労するけれど、振り返ると絶景が応援してくれてるみたい
前常念の岩場
前常念の取り付きにあるハシゴを登ると、登山道上に積もっていた残雪は無くなった。
細かな砂礫と巨大な花崗岩の登山道に変わる。
背の高い植物が無くなり、左側にある蝶ヶ岳、中央アルプス、振り返れば南アルプスと富士山。
さらに八ヶ岳、浅間山などの山々が見渡せる。
標高を上げていくと、常念岳と蝶ヶ岳の間から穂高岳連峰が頭を覗かせ、蝶ヶ岳の向こうには乗鞍岳や御嶽山といった雄大な景色が広がる。
前常念の急な登り坂は登るほど岩が増えるような印象で、ピークに近づいていくと、まるで岩を渡るようにして登っていく。
傾斜は相変わらずの急斜面で、ピーク手前ではハイマツ上に積もった雪の登山道に変わり、その傾斜角度と踏み抜きがとても難しく歩くことに苦労した。
前常念岳
三股の駐車場から3時間12分、前常念に到着した。
ピーク直前には避難小屋が岩に囲まれるようにして建ち、その背後が前常念岳となっていた。
前常念岳は標高は2,662mで周辺の山々への眺めと、常念岳山頂へと続く稜線が美しい。
この稜線が三股から登るルートの醍醐味ともいえるポイントで、2600mを超える稜線から眺めを楽しみながら常念岳へと向かう。
遠くからはこの稜線が平坦に見え、いかにもなだらかで歩きやすく見えるものの、実際この場所へと到着すると、遠くから見た印象とは違う意外な登り坂に泡を食う。
間近に見える蝶ヶ岳、その奥に見える御嶽山と乗鞍岳、常念岳と繋がる稜線の向こうには穂高岳連峰。
右側には大天井岳と後立山の山々が白く霞の中に見える。
妙高山などの上信越の県境に近い山々は、霞の向こうにうっすらと見えるのみで、山の形を区別することができなかった。
前常念からの稜線が核心部。
稜線上は残雪が深くあり、踏み抜きもとても多い。
細い稜線がさらに細くなったような雪の上は、無雪期以上の高度感があり、右側は一ノ沢、左側は蝶ヶ岳との谷に一気に傾斜が落ちていた。
踏み跡の真下には夏季はハイマツが茂っているであろう場所もあり、そういったハイマツのある場所ほど足が埋まりやすく、一度足を落としてしまうと股下まで雪を突き抜けて行くようだった。
麓の街から見る前常念から常念岳への稜線は、とてもなだらかで気持ちの良さそうなものに見える。
実際、この稜線を歩くと、見た目以上の登りになっていて驚く。
前常念から最初の急な登り坂を過ぎ、いったん緩まった登り坂から、再び急な登りへ。
八合目分岐に近づくと槍ヶ岳の穂先が見えた。
常念岳山頂
前常念からの稜線を過ぎ、常念岳の山頂へと取り付く。
八合目分岐から広い傾斜を登り、三股からは4時間8分、常念岳に到着した。
常念岳の山頂には祠と方位盤が置かれ、常念岳の象徴的な風景ともいえる槍穂高が一望できた。
雪のある槍ヶ岳と穂高岳は美しく、今年は暖かさと風のせいか雪が茶色く見えた。
山頂から南側へ稜線を繋ぐ蝶ヶ岳、北側には横通岳とその先に大天井岳、表銀座の稜線。
さらに表銀座の奥に見える針ノ木岳の鋭峰が印象的に見えた。
槍ヶ岳の右側には裏銀座の山々が見え、さらに遠くに見える立山、後立山は霞の中でうっすらと見えた。
東側に見下ろす松本市街や安曇野との高低差など、常念岳の山頂から見る景色は美しく、天気の暖かさもあり、いつまでも見ていたいほどだった。
それにしても今回はスキーヤーが多かった
下山
常念岳からの下山は、登りと同じルートをピストンで下る。
踏み抜きと登り坂で苦労した前常念からの稜線がもっとも気持ちが良いであろうポイントで、左右の高さと、飛び込むような安曇野の景色を眼下に見ながらの下りだった。
30分ほどで前常念岳に到着し、さらに急な斜面を下りていく。
足元の岩は登りよりも下りの方が難しく、傾斜が急なほど太股にも負担が大きかった。
常念岳から前常念までの下りを楽しみながら樹林帯へ。
登りでは固く締まっていたところも、陽射しの温かさから埋まりやすく変わり、その雪の柔らかさが膝に優しかった。
尾根から樹林帯の九十九折りへ戻り、踏み跡とテープに沿いながら三股へと下りた。
サルが道端で済ませた落とし物が多くて多くて、どれだけ踏んだか足の裏が気になる。ほんと。