笠ヶ岳へ笠新道を登る
2017年7月に起きた落石のため、登山口のある新穂高ロープウェイ付近へと続く県道475号線は朝5〜20時半までの交互通行規制が敷かれている。
蒲田川を挟んだ左俣谷側、第二駐車場に車を停める。
朝早くに到着したい場合は通行止め解除前に並ぶ必要があって。
新穂高にある6時間500円の駐車場から左俣谷へ、林道ゲートまで5分ほどの車道を歩く。
駐車場からすでに目指す笠ヶ岳の山頂が見える。
ロッジのニュー穂高の前にある林道ゲートから左俣谷へと入っていく。
ここを一緒に歩いたおじさんは新潟から来てた
ゲートからしばらく舗装と砂利とが入れ替わりながらなだらかな林道が続く。
左側に山壁が高く切り立ち、もっとも高い場所に笠ヶ岳が見える。
ところどころに立てられている標識を確認しながら歩きゲートから45分ほどで笠新道の登山口に着いた。
ここから標高2455mの杓子平まで一気に登っていく。
がんばって登ろう
笠新道の急登
登山口からすぐに勾配のある登りが続く。
幅50センチほどの登山道を左右に折り返し、どんどんと高さを重ねていく。
20分と登らないうちに北アルプスらしい大きく尖った石が登山道に多く見られるようになり、段差の高いところにはハシゴも掛けられていた。
ただただ黙々と樹林帯を登っていく中でも、木々の合間からは穂高岳のゴツゴツとした稜線が見え始め、徐々に視界がその高さに迫っていく様子に気持ちも盛り上がる。
登りでの景色は期待してなかったけど。
すげーじゃん。
登山口から登り始めて1時間ほどで杓子平への中間地点に差し掛かる。
標高1800mをこえ、周りの緑の種類も変わり始め、ところどころで木々が疎らになっている。
ここまで意外と早かった。
穂高岳の眺望は素晴らしく、その南側に見える焼岳の火山らしい赤茶けた山肌と、さらに遠くに乗鞍岳の大きな様子が見えた。
2000mを越えて行くと槍ヶ岳までも見えるようになり、登山道の平坦なところでは眺めを楽しむ余裕も出てくる。
岩の隙間に枯れ葉と柔らかな土が混じったような登山道も、石を踏みしめて登るような登山道に変わり、場所によっては大きな岩を渡るようになっていく。
2200mを過ぎて景色を見上げると、青空が広くなり急登の終わりも近く感じられる。
ニッコウキスゲなどの花も増え始め、急斜面の中にもひといき付けるポイントが増えてきた。
そろそろ朝ごはんを食べたい
登山口では快晴だった天気は徐々に雲が増え、穂高岳の東側や錫杖岳から雲が湧き上がっているのが見えた。
もしかして、このあとガスってくる?
杓子平
急登を折り返しながら登り、盛り上がった丘のようなところから5mほど下ると一気に景色が開けた。
林道ゲートから3時間ほどでの杓子平到着だった。
あれ。。。やっぱり曇ってるか。
樹林帯に覆われ急登の坂道ばかりの景色から、一面に緑と花の広がるカールは気持ちが晴れる。
抜戸岳から笠ヶ岳へと続く稜線も、杓子平からではアップダウンが大きく見え、遠くの山からは平坦に見えていた地形とその長さに驚きつつ杓子平を進んで行く。
新穂高から穴毛谷を上がってくる雲が多く流れ、残念ながら笠ヶ岳の山頂部には雲がかかっていた。
杓子平から大きく右へと巻くように登山道が続いている。
カールの上部には抜戸岳があり、そこへ登っていく壁のような急登が続く。
周囲には様々な花が咲き、急登の強烈さとは対照的に見える。
ガレガレとした岩と豊富な花の急登を登り徐々に稜線へと近づいて行く。
思っていた以上に花がいっぱいで嬉しい
登山道からは外れているものの雪が残っているところもあり、雪と草花のコントラストが楽しい。
登っても登ってもなかなか稜線が近づかないような我慢の登り坂が続く。
振り返って杓子平を見下ろすと、いつの間にかかなり高く登ってきたようにも感じる。
なかなか大変だった
杓子平から1時間近く掛かって、ようやく抜戸岳との分岐に到着した。
抜戸岳山頂へは10分ほどの緩やかな登りで到着できる。
ここまで急登を登ってきたこともあり、そちらへと進む気力もなく笠ヶ岳の稜線へ向かった。
笠ヶ岳への稜線
山頂部だけだった雲は、杓子平から登ってくる間にさらに厚くなってきていた。
抜戸岳からは笠ヶ岳を見ることもできず、鞍部が深く見えるばかり。
登り切った稜線から双六岳との分岐に下り、笠ヶ岳へと向かって歩く。
平坦に見える稜線もそこに立つと登り降りが細かくひとつずつが高く見える。
想像していた以上に稜線が長く笠ヶ岳が遠い。
景色が見えなくなっていることが、ますますそれを助長しているようにも感じる。
にしても白い。
この稜線が白いのがもったいないけど仕方ない。
ときどき雲が切れて真下の穴毛谷の雪渓が見え、その先の新穂高が近く見える。
双六岳との分岐から25分ほどのところには、大きな抜戸岩が登山道を挟むように立っている。黒く大きな岩はまるで門のようにも見え、その間を抜けて稜線を進んで行く。
あちこちにチングルマが多くみえ、風に揺れる様子は杓子平とは違った楽しみがあるようだった。
抜戸岳の分岐から稜線を歩きながら150mほど標高を下げ、取り付きから笠ヶ岳山荘へと登っていく。
なだらかな登り坂でハイマツを縫うようにしていくと広く平らなテント場に着いた。
トイレが大変だという噂のテント場はこれか
笠ヶ岳山荘はさらに上にあり、ガレガレとした大きな岩を選びながら登っていく。
テント場から5分ほど掛けて登り、笠ヶ岳山荘へ到着した。
笠ヶ岳山荘は山頂まで15分ほどの直下に位置している。
晴れていれば東側の景色が良いはずの立地で、今回は雲に覆われて真っ白な景色しか見ることができない。
白いけど、ここまできたっていう満足感は相当なもの
笠ヶ岳山頂
笠ヶ岳山荘の前を過ぎ、山頂へと続くガレ場を登る。
見た目に高く遠く感じられる山頂は、歩いてみると意外なほど近かった。
山荘から10分ほどで山頂手前の祠に到着し、30mほどの長さの細い岩尾根を通って山頂へ。
林道ゲートからはちょうど5時間での笠ヶ岳到着だった。
山頂は狭く10mほどの円形の岩場で、今回は眺望も無く360度どこを見ても真っ白な視界が広がっている。
期待していた白山や槍穂、新穂高などは見ることができなかった。
おもしろい形の山頂部だったなと思う
笠ヶ岳からの下山
笠ヶ岳からは登ってきた笠新道をピストンで戻る。
アップダウンを繰り返してきた稜線は、帰路でもアップダウンを繰り返し、最低鞍部から抜戸岳までは徐々に標高を高く上げていく。
稜線を歩きながらいったん2650mほどまで下がった標高を、抜戸岳分岐の2800mほどまで登り、杓子平へと急勾配を下りていく。
周囲に広がっていたガスはますます濃くなり、景色を楽しむことができないまま杓子平、笠新道へと下りていく。
笠ヶ岳の稜線は帰りも大変だった
杓子平の入口から笠新道登山口までは2時間ほど急登と高い段差を下りていく。
標高2000mほどの場所からも左俣谷の沢が近く見え、歩いても歩いてもなかなかに登山口が近づいてこないように感じられた。
林道まで下り笠ヶ岳の方向を見上げると雲が切れて山頂部が見え、まるで稜線上にいた時間だけが曇っていたかのようだった。
下りてきてから晴れるパターンか。。。