積雪期の唐松岳へ登る
唐松岳へは八方尾根スキー場にあるゴンドラを利用して約1,800m付近まで登ることができる。
ゴンドラの近くにある駐車場に車を停めて準備を始めた。
夏季はモンベルカードの使用で割引もあり八方池までの往復券の購入になるが、スキー場がオープンしている冬季はモンベルカードの使用はできず、料金もゴンドラだけの使用になっている。
ゴンドラを降りると、リフトを2本乗り継ぐ。
片道300円を窓口で支払い、スキーヤーに混じってリフトに乗り込む。ゲレンデを横切って2本目のリフトに向かうと、運行開始は9時の予定。
ゴンドラとリフトを乗り継いでも、まだ8時だったので1時間ほどの待ち時間ができる予定。
準備ができ次第運行が始まり、予定より30分早くリフトに乗り込むことができた。
八方池山荘から唐松岳へ登山開始
リフトを降りた場所は八方池山荘の前。登山者やスキーヤーが上を目指して準備を整えている。
ほとんど木の生えていない八方尾根は強く風が吹き付け、細かな雪の粒が舞い上がる。
すでに鹿島槍ヶ岳や五竜岳が西側に見え、振り向けば周りの山並みを見渡すことができる。
八方池山荘の上に少し登ると真っ白な白馬三山が見える。
見上げると、たくさんの登山者とスキーヤーがすでに先を登っている。
トレースもしっかりと付き、強い風で固く締まった雪は歩きやすい。ただトレースから1歩でも外れると膝の上まで一気に埋まってしまう。
右側から強く吹き付ける風と雪を受けながら真っ直ぐに斜面を登っていく。
第1ケルンには30分ほどで到達。
さらに5分ほどで第2ケルンを過ぎていく。
八方ケルンには八方池山荘から40分ほどで到着。
八方池は雪の下になっていた。
白馬三山と五竜岳への眺めは最高で、風もますます強くなる。
丸山ケルンまでの道程
八方池を過ぎると、狭くなった尾根を歩くようなルートに変わる。
相変わらず強い風が吹き付けてくるので、煽られないように注意。
夏であれば左右を木々に囲まれた場所も、雪の積もった時季では風を避けてくれるものが何も無い。
尾根を過ぎると急斜面を登っていく。
斜面全体が吹きだまりのようになっているようで、踏み跡でも足は埋まり、下山中の人との擦れ違いでも太腿まで足が埋まる。
景色が良いため所々で立ち止まって眺めを堪能しながらの登山も、ここまで雪に足を取られると夏からは想像できないほどに疲労する。
丸山ケルンから唐松岳へ
登山開始から2時間足らずで丸山ケルンに到着した。
風はさらに強くなり、右側に見上げていた白馬三山はだんだんと目線と同じ高さになってきた。
先には唐松岳の尖った山頂が見える。
ルートは完全に尾根を歩くようになり、右にも左にも深い谷が見える。
幅が狭いということもないので、風に煽られてもよっぽどでなければ落ちることもないと思え、とはいえ高さには怖さも感じる。
夏のルートは山小屋が建つピークを左に巻くようにして、崖に掛けられた橋を渡っていくが、積雪期ではピークを真っ直ぐに登っていく。
急な斜面で左右は崖。
このルートの中では唯一の高度感がある場所になるかもしれない。
足元に気をつけて登れば危険ということもない
登り切った先には、立山への眺望が待っていた。
唐松岳山頂
立山を見晴らす尾根は、風が強く当たるせいかほとんど雪が無く石が露出していた。
雪庇も大きく育ち、ルートのすぐ下には何メートルも窪んだ雪の壁ができていた。
鞍部を下って山頂へと取り付き、唐松岳山頂へと到着。
八方池山荘から登り始めて3時間10分ほどでの到着だった。
唐松岳からの360度の眺望は素晴らしく、五竜岳や不帰の険をはじめとして剱岳や立山、遠く槍ヶ岳も見える。
何よりも日本海が青く見え、富山の街を見下ろすことができたのが良かった。
東側には妙高山や四阿山、浅間山が大きく見えた。
登っている最中に見ることのできた富士山は、山頂に着いたときには霞んでしまい見ることができなかった。