大池から登る初冬の斑尾山
斑尾山は飯山市の西部に聳える1382mの山。
山の北側と東側にゲレンデがあり、アウトドアが楽しめる山としても知られている。
キャンプ場やトレッキングコースなどがあるなかで、最も知られているのは信越トレイル。
その起点が斑尾山の山頂にある。
いくつかある登山口から今回はスキー場側にある大池から。
温泉や大学のキャンプ場が近くにあり、駐車場も広く登りやすいコースとなっている。
いろいろなところから登ってみたいと思う斑尾
まだらおの湯に隣接している駐車場に車を停めた。
車が30・40台は停められそうな広さには一台も無く、積雪は足首が埋まる程度だった。
ちょっと降雪が気になる雲行きやらニュースだったので・・・
駐車場の間近にある遊具の横を通って、斜面を登っていくと林道に出た。
新しい踏み跡があり、広々とした雪のなかでも行き先が分かりやすい。
林の中を抜けると斑尾山の方向を指す標識が建っていた。
車が走れそうな幅の緩やかな登りで、左右の林の中には別荘のような建物が点在している。
年末前はシーズンオフのようで、どの別荘も固く戸締まりをして閑散とした雰囲気だった。
別荘の敷地と藪とを繰り返しながら登り、最上部の別荘を過ぎると人が並んで歩ける程度の幅に変わった。
雪の重みからか、左右の小枝が張りだして歩きづらい。
冬と夏とで雰囲気が一変しそうな場所
20分で林道
歩き初めて20分ほどで林道と合流した。
大池から登ってきた林道は、この合流地点から斑尾最上部の林道になる斑尾林道と合流するように作られているようで、ここからいったんショートカットするように林の中に入っていく。
周りには落葉松が多く、見上げると細かな枝がまっすぐに伸びていた。
白い空がこの季節らしい寒々しさを感じる。
7・8分歩いて林道
7・8分歩くと林道に出た。
先ほど横切った林道との合流で、また横切って林の中に入ってショートカットしていく。
3分ほどでまた林道に出た。
3回目の林道は斑尾の山腹を横切る斑尾林道で、スキー場から涌井地区へと繋がっている。
右へ下りて行くとスキー場方面へ向かうため、今回は左へ上っていく。
膝下ぐらいの雪はしっかりと付けられた踏み跡で歩きやすい。
このあたりまで来ると曇っていた空から太陽が射し込むようになり雪が反射して眩しい。
とても気持ちの良い林道歩きが楽しめた。
斑尾林道って山頂まで最寄りらしいのだけど
斑尾林道の登山口まで10分
10分と掛からずに、斑尾林道の登山口に着いた。
夏季であれば、林道を車でここまでやってくることができる。
大池からは35分ほどでの到着だった。
大池から林道続きの登りは、斑尾林道に設けられた登山口から本格的な登りへ入っていく。
路肩から土手へ上るような感覚で、雪の段差に足を掛けると、急な斜面を細かく折り返していくのが見える。
どこまで登るのだろうかと思うほどに上へと続いている。
なかなかの急斜面
息を切らせながら登り始め、急登を左右に小さく曲がりくねる。
大きな段差もなく、凍った土と雪の斜面が続く。
振り返ってみても疲労したほど登った印象が感じられない。
いくら山頂まで短いとはいっても、この登りは厳しい
気が付いてみると、左には落葉樹の雑木林、右には杉の林が広がっている。
あまりにクッキリとした境目で、この登山道はきっと杉の植樹のために登られたのだろうかと思いながら登った。
葉の落ちた左側の林から、陽が射してジンワリと汗をかく。
着ていたフリースを脱いで、この急登を進んでいった。
きっと植樹とか林業に使った道が登山道になったんじゃないか??
変わり映えの無い急登の中、なんとなく林の向こうが明るく、尾根の到達点が見えてきたような気がする。
地形も急斜面から尾根のような細く丸みを帯びた形に変わった。
急登からいったん緩んだ斜面になり、まっすぐに伸びた木々の間を歩いていく。
そんな歩きやすい登山道も、すぐに急登に戻ってしまい、近づいた尾根の先までもう少しといったところだった。
きっとアレが山頂だ
頭の上に広がる枝も疎らで、その間からは麓の涌井や豊野の街並みが見える。
きっとこの上には山頂が間近に見えるのだろうと期待が膨らんだ。
急登を登り切って尾根に出た。
ここからは山頂が2・3分ぐらいなのだろうと期待をしていた。
ところが尾根のうえに出てみると、見たことのある山頂とは違う景色。
それどころか、離れたところに高い峰が見えて、踏み跡は底へ向かって伸びている。
木々の向こうに見えるのは、地形からして大明神岳でそこから繋がる高い峰が斑尾山の山頂。
そんな気はしていたけれど、やっぱりアレなのか・・・
急登の辛さは、ここを登ったら山頂だと期待していたからで、それが見当違いの期待だと分かった瞬間に一気に力が抜ける。
ただあっさりと帰れるほどの距離ではなく、せっかく登ったのだからという思いも強い。
遠く見える山頂部も、数字にしたら高低差もなく距離も短いのだろうと想像できる。
ただ気持ちが折れているだけで。
尾根は少しなだらかに下りてから登り返す。
尾根の右側は真っ白で、枝に付いた雪が寒さを物語っているようだった。
登山道の両側には笹が増えてきた。
そういえばここまで笹が無かった
尾根に出て10分
急登から尾根に出て10分ほど。
たくさんの印が付けられた木が立っていた。
赤いテープがいくつも付けられ、木肌には「シズマ」と書かれている。
麓の静間地区を指しているのだろうが、矢印が指す方向を見ても枝が迫り出しているうえに踏み跡も無い。
下山はココを降りてみようかと思うものの、慣れない地形に積雪があると状況も分かりづらい。
どこを下りても車道か林道に出ることは分かっていても気が引けた。
踏み跡があればココを下りてみたいという興味があった
この印から先は登りも見るからにキツくはなさそうで、左側から柔らかく陽が射すのを見上げながら尾根を登っていく。
斑尾山山頂
大池から1時間28分
大池から1時間28分で斑尾山に到着した。
この積雪でも登るひとはそれなりに多そうで、スキー場側からの踏み跡や、大明神岳へと進む踏み跡が続いていた。
もともと木々に覆われた山頂部のため、天候以前に眺望は期待できない。
ただ1300mを越える標高だからか、落ちてくる雪の結晶がしっかりと見えた。
ジッとしていると寒い・・・
陽が射すわけでもなく、眺望を得られるわけでもなく、だからといって大明神岳へ歩くほどの天候が良いわけではないので、早々に下りることにした。
下山
斑尾山からの下山は登ってきた登山道をピストンで戻る。
シズマの矢印を興味深く眺めてみたものの、やはり踏み跡も地形も分からなかった。
傾斜がなだらかなところまで下りてくると、間近に野鳥の鳴き声が聞こえる。
ヤマガラか?と思って耳を傾けてみると、どうやら違うような印象で、声のほうへ目を凝らすとエナガが数羽留まっているのが見えた。
もうすこし鳴き声で区別が着くようになると楽しいのだろう。
遠目に区別が着いただけでも進歩したと思う
中盤で苦労した急登に差し掛かる。
登りで苦労した坂道は、下りは足元の悪さで苦労をした。
油断をすると尻餅を着いてしまいそうで、それでいて斜面を真っ直ぐ下へと伸びている。
急坂の下りが核心部だった
なんとか無難に林道まで下りると、すっかり陽が高くなって、キラキラとした眺めは無くなっていた。
なだらかで変化の少ないなか、大池へ向かって下りた。