谷川主脈

2026m

西黒尾根〜火打峠 2018年6月2日

  1. 登山百景トップ
  2. 上信越の山
  3. 谷川岳登山
登り
西黒尾根
下り
火打峠
最高標高
2026m
登山口標高
851m
距離
22.05km
累積標高
2372m
2231m
平均斜度
11.2度
時季
2018年6月
天気
晴れ
日程
日帰り
水の量
水2l 水2l 水900ml
歩いた時間
合計9:25
平均歩速
2.34km/h

この日のペース

  1. 西黒尾根登山口
  2. トマの耳(2:31)
  3. オキの耳(2:41)
  4. 肩ノ小屋(2:54)
  5. オジカ沢ノ頭(3:44)
  6. 小障子ノ頭(4:05)
  7. 大障子ノ頭(4:31)
  8. 万太郎山(5:10)
  9. エビス大黒ノ頭(6:30)
  10. 仙ノ倉山(7:14)
  11. 平標山(7:47)
  12. 平標山の家(8:09)
  13. 岩魚沢林道(8:41)
  14. 平標山登山口(9:25)

このコースの消費カロリーを計算する

体重を入力すると、このページで紹介しているコースのおおよその消費カロリー(登り+下り)を計算します。

※距離と「登り+下り」の累積標高から計算した目安の値です。
※雪質・気温・荷物の重さ・歩くペースなどにより、実際の消費カロリーは大きく変動します。

Amazonや書店で買える地図

山と高原地図 谷川岳 苗場山・武尊山
山と高原地図 谷川岳 苗場山・武尊山
Amazonで見る

登山の写真がとっても綺麗なブロガーRED SUGAR氏に声を掛けて頂いての谷川主脈でした。
天神尾根から谷川岳へ登ると、左側に尖った存在感のある山が見えますが、肩ノ小屋からその方向へと歩いていきます。
ルート上、その尖った存在感のある山へは登らないのですが、万太郎山、仙ノ倉山、平標山と、美しい花の稜線を歩き通しました。
距離が長いばかりかアップダウンが多く、ひとつひとつの峰が高く急で日帰りの行程としてはとても大変でしたが、とても気持ちの良い行程でした。
虫が多く何カ所か刺されましたが、この季節にこの山並を歩くことができて良かったです。
誘って頂いたことに加え、天候を細かくチェックをして行程を組んで頂いてありがたかった登山でした。

登山口は土合、下山口は湯沢と別になるため、バスやJRを乗り継ぐ必要があるので運行時間に注意が必要です。

連なる峰と咲き誇る花のルート

関東と新潟との境に位置する谷川岳。
大きく広がる稜線は、北に一ノ倉岳・茂倉岳、谷を挟んで東側には朝日岳・笠ヶ岳など、西側には万太郎山・仙ノ倉山などが聳える。
谷川岳の主要な登山口である土合から、稜線を周回するように歩く馬蹄形縦走、西へと続く谷川主脈縦走と、谷川岳そのものだけではなく周辺の山々を渡り楽しめる。

谷川主脈の最高峰は標高2,026mの仙ノ倉山。
標高こそ2000mを僅かに越える程度ではあるものの、三大急登のひとつに数えられる西黒尾根から谷川岳、さらに縦走していくいくつものピークへとアップダウンが激しく、距離が長いことも合わせると危険地帯は少なくともハードな難路といえる。

  • 谷川主脈縦走 西黒尾根
  • 谷川主脈縦走 西黒尾根
  • 谷川主脈縦走 西黒尾根
  • 谷川主脈縦走 西黒尾根
  • 谷川主脈縦走 西黒尾根

梅雨入り前の季節、谷川主脈は花の季節を迎える。
ハクサンイチゲをはじめとしてシャクナゲやミヤマキンバイなどが目を楽しませてくれる。
爽快な稜線歩きや咲き誇る花々は行程の激しさとは対照的で、にも関わらずどちらも時間を忘れさせるほど。
時間を作ることができればゆっくりと花を楽しみ、じっくりと主脈を堪能したい行程といえる。

谷川主脈 日帰り縦走

今回の谷川主脈縦走は、写真がとても美しい登山ブロガーRED SUGER氏。
これまで何回かご一緒させて頂き、いずれもそこそこに負荷の高い登山ばかりが続いている中、今回は距離も高低差も最高のものになった。

計画のほとんどを丸投げしてしまったけれど。。。

縦走の起点は土合から

関越自動車道水上ICから土合駅へ駐車し、西黒尾根登山口まで20分ほどを歩いてゆく。
下山は平標山登山口になり、交通機関を使って戻るため、バスとJRの乗り継ぎ時間を確認しておきたい。
特に土合へ戻るための電車は最終が18時前ということもありバスによっては乗ることができない場合もある。

西黒尾根から谷川主脈へ

谷川岳登山

待ち合わせが朝の4時って。。。しかも意外と人も多い。

土合駅から歩いて25分ほど。
天神尾根へと続くロープウェイ駅を通り過ぎ、西黒尾根の登山口へと向かう。
長い行程になるため、登山口では朝4時半を回った頃。
夏至が近くすでに空が白んで緑が濃く繁った登山道も明るい。

登山口からすぐに段差の高い急登が始まる。
木の根と大きな石が埋まった登山道で、前日に降ったと思われる雨のせいか土や葉は湿気ている。
15分ほどで鉄塔の下を潜り、登山口から30分ほど経ったころには、朝陽が葉の間から差し込むほどになった。

陽が差し込むと一気に気温が上がっていくようで、風の少ない樹林帯は蒸し暑く感じる。
階段のような段差が続く登り坂を過ぎ、登山口から40分近く登ったところで10mほど下った。
木々の間からは、うっすらと雲のかかった谷川岳のトマの耳が見える。

谷川岳登山

にしても・・・緑に赤い服の人は良く映える。

下った後にも急な登り坂が続く。
トンネルのように濃い緑が周りを覆い、さらに30分ほど登ったところでようやく眺望が開けた。
ちょうど天神平が目線の高さに見え、薄い雲で白んでいるようにも見える。

ここからの登山道は眺めが良いかわりに岩場が続く。
足元にはイワカガミが見え、谷川岳の山頂部もチラホラと見え始めた。
それまでの樹林帯が長く眺望を楽しめなかった分、眺めの良い登りは楽しく、雲がかかった谷川岳は雰囲気があり気持ちを高揚させる。

すっかり木々が開け、今まで登ってきた後ろを振り返ると、谷川岳東側に聳える笠ヶ岳や朝日岳などが朝陽に陰って見える。

足元は岩場の稜線が続き、危険というほどの箇所ではないものの、とても滑りやすく気を抜くと足を踏み外しそうな状態だった。
鎖場と、手を突いて歩くような岩場の稜線を緩やかに登り、西黒尾根でもっとも眺めの良いラクダの背に到着すると目前に谷川岳が大きく見えた。

谷川岳登山

西黒尾根は前を向いても後ろ振り返っても綺麗だと思う。

ラクダの背から谷川岳山頂への高低差は400mほど。
そう高くはないはずの高低差が壁のように高く迫って見えるのは、おそらく西黒尾根の急登が目の前にあるため。
遠目にも斜面を縫うようにして岩場のルートが続いているのが見える。
厳剛新道との合流地点に建てられた標を横目に、肩ノ小屋を目指してふたたび急登へ。

徐々に高くなっていく景色を見ながら、滑りやすい岩場を登っていく。
いったん急登が緩まり、橋を渡るような狭い岩場が続くと、高く見えていた谷川岳はすぐ近くに感じる。
大きな一枚の滑らかな岩を過ぎると急登の終わりは近く、笹が茂る中を登り切ると肩に出たようだった。

谷川岳登山

谷川岳って2000mにも満たない山だけど迫力はすごい。

谷川岳登山

天神尾根から登ってもココから見る主脈はインパクトが強め

たくさんの笹が茂った中、左側には天神尾根が続き、振り返ると登ってきた西黒尾根と、その先に谷川岳と並ぶ稜線が見える。
谷川岳の山頂部はすぐ近く、肩のような斜面には雪が残っていた。

雪の上へと歩いていくと徐々に谷川主脈が見え始め、これから向かう長い縦走路と峰々が続く。
肩ノ小屋と山頂への方向を示す標を見上げ、肩ノ小屋を見下ろしながら谷川岳の南峰ともいえるトマの耳へと向かう。

谷川岳登山

この景色で、もうココまでで良いんじゃないか?って気さえする。

谷川岳山頂

南側のトマの耳には登山口から2時間30分ほど。
朝早い出発だったためここで朝食を取り体調を整える。

遠く見える谷川主脈を眺め、終盤の仙ノ倉山を指さしてはその距離の長さが信じられず、同行のRED SUGAR氏に何度も確認をしながら景色の良さを堪能する。

谷川主脈のスタート地点としてはトマの耳で十分ということもあったが、ここまできたら山頂にあたるオキの耳にも行っておきたい気持ちが強く片道10分ほどの道のりを往復した。
まだ縦走路の序盤ということもあり、この往復は気持ちも体力も余裕があり、鞍部に咲くシャクナゲにテンションを上げながらオキの耳を往復した。

谷川岳登山

マジですか?・・・仙ノ倉山がアレ?

肩ノ小屋からオジカ沢ノ頭

オキの耳からトマの耳を通過して肩ノ小屋へ。

ここからようやくスタート地点に立ったかのような気持ちで行く先へ続く登山道を眺める。
一面の草原の中に切り立った峰が続き、目指す縦走路最後の山、平標山は見ることもできない。
肩ノ小屋からは西側の眺めが良く、主脈のほとんどが見渡せるようでもあった。
玄関口に掲げてある地図と実際の景色を見比べながら、これからの行程を思うと先は長く、この時点からは核心部的なところの想像も付かない。

谷川岳登山

植物はまったくの知識不足なので頼りになります・・・

肩ノ小屋を後にして、オジカ沢ノ頭へ斜面を下っていく。
すぐに見えたのがハクサンイチゲ。
斜面に塊になって咲いている様子は可愛らしく、この花の咲く時季や見られる山域などをRED SUGAR氏から聞き、カメラに収めてはまた次の花へ狙いを定めていく。

谷川岳登山

谷川ってシャクナゲいっぱいあるんだ。

たくさんの花に興奮しながら、あっという間に斜面を下りてしまい、下りてきた方を振り返ると、意外なほど穏やかな谷川岳があった。
よく見る険しく切り立った谷川岳は、存在感を消し去ったような姿に変わり、その代わりに一ノ倉岳や茂倉岳の岩壁の存在感が強く見えた。

オジカ沢ノ頭へは小さなアップダウンを繰り返す。
ところどころに群生している花々に足を止め、なかなかに進むことができずにカメラばかりを構える時間が増える。
シャクナゲのピンクは鮮やかで形も美しく最も良いタイミングで訪れることができたと感じた。

アップダウンを繰り返しながら鞍部へと下りると、中ゴー尾根との分岐があり、一面の笹の中に登山道が続いているのが見えた。
鞍部からは穏やかな稜線が続き、先に見えるオジカ沢ノ頭だけが険しく切り立った様子だった。
笹に両側を囲まれながら、その隙間に咲くシャクナゲを楽しみ、徐々にオジカ沢ノ頭に近づく。
オジカ沢ノ頭は距離が近くなっていくほど険しさがジワジワと伝わってくるようで、この細い稜線のどこに登山道が続いているのだろうかという思いになる。

谷川岳登山

谷川岳から見えるあのトンガリに向かうのは感慨深い

高さ5mほどの岩壁を登ると狭く平坦な稜線が続き、さらに近づいて行くと垂直のようにも見える岩壁に鎖が1本下げられていた。
錆びた様子のない綺麗な鎖で、よく整備されている状況は分かるものの、谷川岳の岩の滑りやすさを思うと不安がよぎる。
急峻な岩に鎖が吊り下げられた様子は、荒沢岳や八海山などの魚沼の山を思わせるようで、花の咲く美しい登山道とは違う雰囲気で楽しめるポイントでもあった。
角度は急であったものの手足をかける場所が多く、鎖に頼らなくても登れるほど。
登り切るとオジカ沢ノ頭は切り立った稜線の先すぐそこだった。

オキの耳から1時間近くかけてのオジカ沢ノ頭。
北側には山に囲まれた中に越後湯沢が見え、振り返ると谷川岳の稜線が穏やかな様子に見えた。
西側には縦走路が続き、万太郎山へ行くまでに越える峰々と、それ以前に一気に標高を下げて登り返す登山道が見える。

谷川岳登山

オジカ沢ノ頭の頭で景色を見ていたら、すぐそこの雪渓が崩れて迫力がちょっと・・・すごかった。

万太郎山へ

オジカ沢ノ頭のピーク直下には避難小屋がある。
潰れた円筒のような楕円形の避難小屋は、鉄板で作られていて入口を開けるとムアっとする蒸した空気が流れ出てくる。
窓も無いようで真っ暗な中の様子は、避難小屋には変わりはないのだろうけれど、狭い中に閉じ込められるような印象もあり、なかなか泊まろうというには勇気が必要な雰囲気だった。

谷川岳登山

できれば寝るのは外がイイと思ってしまった・・・

標高1840mのオジカ沢ノ頭から一気に高度を下げ、小障子ノ頭へと向かう。
登山道の先に大きく聳えて見える万太郎山まで、小障子ノ頭、大障子ノ頭と大きなピークが2つあり、下っては登ることを繰り返す。
周囲一面には笹が広がり、葉が陽の光を反射する様子と、ところどころで咲いている花の群生が楽しめるが、アップダウンの行程は太股への負担も大きい。
急勾配の下り坂を180mほど、鞍部へと下りきって小障子ノ頭への登り返し。

谷川岳登山

そうか・・・川棚ノ頭はルートが無いのか。

谷川岳の天神尾根から左手側に鋭く見える川棚ノ頭は、このあたりでは平たく見え、その斜面一面に笹が茂って光っているようだった。
雪の影響からか笹の斜面には地滑りのような割れ目も見え、決して盤石ではない様子に登山道らしきものが見えないのも納得できる。

オジカ沢ノ頭から小障子ノ頭へは20分ほど。
100mにも満たない高低差の登り返しで、下ってから大障子ノ頭へと登り返しが連続するが、それ以上に目の前に万太郎山への登り返しが見え、細かなアップダウンなどはあまり気にもならなかった。

川棚ノ頭は一枚の大きな板のような形状で、東西からは鋭く尖った形、南北からは平坦な稜線を広げている。
万太郎山への稜線から見る南側の景色を遮っているように聳え、谷間に残る雪と濃くなった緑が美しい場所だった。
右側には越後湯沢への眺めがだんだんと良くなり、標高が低いながらも鋭い峰々いくつも見えた。
谷川岳は序盤の登山道からの雰囲気とすっかり変わって見え、遠く離れるほど存在感が薄くなっていく。
代わりに谷川岳の稜線伝いに一ノ倉岳や茂倉岳の岩肌が険しく堂々とした様子に見えた。

谷川岳登山

こっち側から見ると百名山に選ばれそうなのは一ノ倉岳だと思う。

小障子ノ頭から25分ほどで大障子ノ頭に着き、いったん下ってから万太郎山への登り返しが始まる。
大障子ノ頭1800mから85mほど下りてから万太郎山1954mへ、約240mほどの登り返しは数字的な高低差はそう高くもないものの、高々と聳えて見えた存在感と急登という精神的なところでの辛さがあった。

振り返って景色を見るたびに、ゆっくりと角度が変わっていく景色はいつまで見ていても美しく、深い緑に覆われた北側の魚沼地方と、笹が広がる谷川の稜線と谷間に飽きることがなかった。

谷川岳登山

残雪と緑とが本当に綺麗。

万太郎山への急な登り坂は、シャクナゲが山肌をピンク色にしていた。
登り坂へ近づくまで、こんなにもたくさんのシャクナゲが見られるとも思わず、濃い緑の中に鮮やかなピンクが広がる様子を見上げながら登っていく。
急登を登り切ると、土樽からの登山道と合流し、傾斜の穏やかな稜線に出た。
背の高い木々が無く、360度の眺望が楽しめ、さらには鮮やかに花が咲く絶好の稜線で、山頂へと続く狭い登山道の両脇は群生したシャクナゲが覆っていた。
肩ほどの高さでシャクナゲが咲き、視線の間近でそれを見ながら万太郎山頂へ。

谷川岳登山

こんなに咲いているなんてテンションが上がる一方じゃないか・・・!

大障子ノ頭から40分ほどでの万太郎山到着だった。
丸く開けた山頂部は、西側に仙ノ倉山が大きく聳えて見え、圧倒的に存在感が強い。
仙ノ倉山の左には険しい鋭峰のエビス大黒ノ頭があり、深く切れ落ちるように登山道が下りていた。

この主脈縦走での最低鞍部がエビス大黒ノ頭と万太郎山の間にあり、長いルートの中での核心部ともいえる。

北側に見える魚沼の景色と、東側に見える谷川岳の稜線を見回し、エビス大黒ノ頭へと登山道を下りていく。

万太郎山からエビス大黒ノ頭

万太郎山からすぐに狭く切り立った尾根の下り坂になった。

谷川岳登山

花がいっぱいで気にならないけど、何気にけっこう狭くて高い。

1mほどに思える狭さで高さもある尾根道になっているが、両側に咲くシャクナゲのせいか高度を感じることなく花を楽しみながら進んで行く。
狭い尾根の一面に咲く花を見ながら、エビス大黒ノ頭へ。

避難小屋を過ぎ、深く深く鞍部へ下りていくと標高1568mの最低鞍部を過ぎる。
左側に見える深い谷には、雪解け水なのか大きな音を立てて落ちる滝が見え、その険しさと山深さには目を奪われる。
ここから登り返す一方だと思うと高低差には辛い物があるけれど景色を見る余裕もあった。

谷川岳登山

登ったのにまた下りるって・・それはナイだろう・・・

最低鞍部から小さな峰へ急斜面を登り返し、このままエビス大黒ノ頭へと登っていくかと思えば、ふたたび低く下り、すぐに急登が続くのが見える。
あまりの急激なアップダウンに気分が滅入りながらも急登に取り付く。

視界を遮るような草木は無いため、眺めは良いものの背負うような陽射しが熱く、広くはない尾根が単調にも感じられて登り坂に耐えるよう。
エビス大黒ノ頭へは肩のようなピークを越えて近づいていく。

万太郎山のような華やかな斜面もなく、ひたすらに登り続け1時間20分、ようやくエビス大黒ノ頭へ。
狭い稜線上のピークで、南側の遠くに霞んだ赤城山や榛名山を見、間近になった仙ノ倉山へまた下って登り返すことを思いながら景色を楽しんだ。

谷川岳登山

登り切れば意外と短かったかも。。。

仙ノ倉山

エビス大黒ノ頭から仙ノ倉山は近く、コースタイムでもそう長くは書かれていない。
ただエビス大黒ノ頭から下って仙ノ倉山へ登り返すという終盤には堪えるルートで、特に仙ノ倉山の登り返しは長くはなくても急登を楽しめるほどの余裕も持てない。

エビス大黒ノ頭の稜線上から狭い尾根を鞍部へと下る。
このあたりでもシャクナゲが多く咲き、鮮やかなピンク色が楽しい。
まだ下っていく登山道と、標高2000m越えという谷川岳よりも高い位置への登り返しという現実的なことを忘れ、花のある景色を楽しむ。

谷川岳登山

正直なところ、花を見すぎて慣れてしまった感もかなりあるけれど。。

鞍部から避難小屋を過ぎると仙ノ倉山への取り付く。
これまでのルートと同様に笹が茂り、花が咲き、周りを見渡す余裕があれば景色も楽しめる。
急登の先に見える膨らみは山頂ではなく、その先に山頂があることを思いながら、とにかく登り坂に耐えて登り切ると、穏やかな稜線上に膨らんだ仙ノ倉山山頂が見えた。

エビス大黒ノ頭から45分ほど。
シャクナゲの咲く緩斜面を登って仙ノ倉山山頂に到着した。

眺望が良く広い仙ノ倉山山頂からは、遠く離れた谷川岳が見え、その稜線を見るとなかなかに感慨深い。
ここまで来ると平標山も見えて縦走の終わりが感じられるが、そうはいってもまだ遠く、高低差が少ないはずの平標山の登り返しも満腹感でいっぱいという気持ちになる。

谷川岳登山

谷川岳が遠くなったな。。

谷川岳のトマの耳からは遠く見えていた仙ノ倉山まで来たことと、あれほど離れて見えた苗場山の山頂台地がここからは間近に大きく見えることに驚いた。

平標山へ

仙ノ倉山から平標山へは木道があり歩きやすく整備されているところも多い。
山頂からの下りも階段になっており、下りてからの登り返しも階段が設けられていた。

仙ノ倉山と平標山との間にある小さな峰から見渡すと、これまでの激しいアップダウンとは打って変わった穏やかで緩い斜面が広がり、シャクナゲの濃いピンクが華やかだった。

谷川岳登山

食傷気味にも感じていたけど、いやいや・・・けっこう凄い

北側の眺望が良く、越後湯沢にあるスキー場が見え、魚沼の特徴的な鋭峰が連続する様子もおもしろい。
平標山を目指しながら左右に咲くシャクナゲの群生を愛で、緩やかな下りが徐々に登りへと変わっていく。
登山道は大きな石が転がった状態で決して歩きやすいものではなく、整備されていたと思われる木段もところによっては崩壊している。

もっとも花が楽しめるという平標山付近のお花畑は、今回は最盛期という状態でも無かったようで、小さく可愛らしい花がチラホラと咲く程度だった。

谷川岳登山

ここの花は期待外れだったかも。。。時季の問題だろうけれど。

仙ノ倉山から平標山へは30分ほど。
山頂からは苗場山がますます大きく見え、振り返った稜線のなだらかさは序盤とはまったく違う印象だった。
平標山からは3つの登山道があり、その中から三国山方面の平元新道へ下りる。

谷川岳登山

苗場山がかなり大きく見えたのが驚き。

谷川主脈からの下山

平標山からは幅の広い階段を下りていく。
正面に三国山と大源太山を見つつどんどん標高を下げ、シャクナゲに囲まれるところでは減っていくだろう花を名残惜しく思い、まずは平標山の家を目指していく。
階段を下り平標山から離れていくと、仙ノ倉山の影になっていたエビス大黒ノ頭が見え、苦労した登り返しが思い出される。

谷川岳登山

思い出に浸るエピローグ的なところかなと。

平標山の家までは20分ほどで到着し、ひと息入れて岩魚沢林道へ向かって下りる。
それまで眺めの良かった登山道から一気に樹林帯に囲まれた登山道へと代わり、爽やかな風は蒸した暑い空気に変わった。
眺望は無くても周りを覆うブナの緑も綺麗で、階段の整備された登山道は下るのに歩きやすい。
30分ほどで林道に出ると、車が走れる程度の広さになり、あとは道にあわせてなだらかに下っていく。

林道では分かりづらい分岐があったものの、長い縦走路のエピローグに思えるようで、とはいえ眺めるもののない林道は退屈で、登山口へと戻ることを思いながら長い林道を下っていった。

谷川岳登山

これが結構長かった。。。

谷川岳から平標山への主脈縦走は、1日で歩くには長く高低差も大きい。
繰り返すアップダウンも堪える。
その中で山深い登山道が綺麗に刈り払われて歩きやすく整備されていることがありがたく、残雪のある豊かな緑の山が美しかった。
思っていた以上に擦れ違う登山者が多く、同じように縦走をする人が多く感じられたのも意外だった。
谷川主脈の花を十分に堪能できるタイミングで訪れることができ、また歩き甲斐のあるルートを辿れたことはとてもうれしいことだった。

谷川岳登山

おまかせしっぱなしだったけれど、REDSUGAR氏には感謝したい。

感想をお聞かせください

こちらのフォームからお送り頂けます。

メッセージは文字まで、送信は一日回まで
現在文字数 0文字

エビス大黒の登り返し

エビス大黒の登り返し

谷川主脈の縦走は、谷川岳から平標山までの稜線上を歩くルートです。
西黒尾根から谷川岳に立ったとき、あまりに遠く見える仙ノ倉山に驚き、果たして歩くことができるのだろうかと不安になり、万太郎山を越えるといよいよ終了地点が見えてきます。
その万太郎山と仙ノ倉山との間にあるエビス大黒峰が核心部といえました。

約300mを下って登り返すルートは、あまりに激しく、あらかじめそのことが分かっていたとしても、目の前にそれが見えると腰が引ける思いです。
万太郎山から最も低い鞍部へと下り、これからいよいよ登り返しと思い、意気込んで登った後、再びやってくる下り坂。
登ったのにまた下りるのか・・・と下りと登り返しを見て力が抜けました。
一気にエビス大黒へと登っていく急登は、間違いなくこのルートでの最も難しい場所でした。

下山後に立ち寄った温泉

仏岩温泉 鈴森の湯

水上温泉から県道270号線沿いにある日帰り温泉施設。
真上を関越自動車道が走り、周囲を暑い緑が覆っている。
アルカリ泉ですべて掛け流し。
内湯には源泉のぬる湯と加温したお湯、露天風呂が整っている。

たくさんの緑に囲まれた日帰り温泉で、ぱっと見は通り過ぎそうな建物という印象でした。
駐車場から少し下って入口があり、温泉は建物の中の階段を下り、浴室はさらに階段を下りるという登山帰りにはハードな温泉でした。
源泉はぬる湯で、並んで加温された湯船がありました。
露天風呂は川を見下ろしながら、流れの音を聞く雰囲気の良いところでした。
谷川は日帰り温泉を選ぶのが難しい印象がありましたが、ここはオススメしたい温泉です。

ただ休憩室の食事は少し時間がかかってしまうこともあるようなので、時間に余裕のあるときにのんびりとしたいです。

同じ時季に登った山