冬季のスズラン峠から蓼科山へ登山
蓼科山へは、7合目や大河原峠から上るルートなど八ヶ岳を絡めて複数のルートがある中、今回は白樺湖と蓼科高原を繋ぐスズラン峠の登山口から。
大門峠を越えて白樺湖を過ぎ、ビーナスラインからスズラン峠へ。
2in1スキー場を通り過ぎて最も標高の高い地点を過ぎると左側に駐車場がある。
20台ほどは停められる広さで、少し時間が遅くなるといっぱいになることも多い。
朝早くに到着した駐車場には車が一台。
山頂は風が強くて寒いことが想像できるのでしっかりと防寒をして、アイゼンを履き登山口に入っていく。
きっと今日の一番乗り
前日に降った雪は5センチから10センチくらい。
防寒をして、アイゼンを履き、登山口に入っていく。
とても雪質が良くてサラサラとしているので上手く踏み込むことができない。
キュッキュッという音は気持ちが良いのだけれど、ここまでサラサラだとアイゼンも効かない。
北八ヶ岳を眺めながら蓼科山への急斜面
登山口から入ってすぐに北八ヶ岳が見え、雪の中には新しい鹿の足跡がアチコチに。
目指す蓼科山はこのルートからはほとんど見ることができない。
2〜300mほど進むと急な坂になり、林の中を歩くコースになった。
急だとは聞いていたけれど、まさかこんなに早く急斜面が来るとは
さすがは冬の蓼科といったところで、カメラはどんどん冷たくなり、それを握る手も冷えて真っ赤になる。
スズラン峠のルートは急斜面が続き、緩やかなところは少ない。
踏ん張りの効かない足元の中、急な斜面を登るのはとても大変で、ふかふかの雪はアイゼンではなくスノーシューでも良かったのでは無いかと思いながら進む。
登り始めて1時間ほど、振り返ると眺望が開けていた。
急な斜面が続くのでどこかで良い景色が広がるのだろうと期待していた。
1時間ほど登って見えたのは駐車場より高い所に建っていたあの小屋。
いま自分がどれくらいの高さにいるのかも分からず、だんだん景色の良いところにやってきた気持ちになる。
朝早かったおかげで、登り始めた朝陽が空を明るくしていく様子もなんとなく見ることができた。
雲が多く、最高の天気というワケにはいかなかった中で、それだけに雲に映る朝陽の色が見られた。
見回すと、周りの木も風で凍り付いている。
霧氷が見たい
木の凍み具合も変わる
スタートから約2時間。
急だと思っていた登山道は、さらに急勾配になって歩きづらくなってきた。
登山口でサラサラだった雪はもっとさらにサラサラと軽く細かくなっている。
アイゼンがあって良かったのだろうけれど、果てしてアイゼンの役目を果たしているのかもよく分からない。
周りの木も、背の高い落葉松に囲まれていたのに葉っぱの無くなった木もチラチラと見えるようになり、木に着いた氷の大きさも変わってきた。
振り返るとスタートから1時間のときよりもグッと高い場所に来ている。
そしていよいよ樹林帯を抜けて森林限界。
ここから蓼科山山頂まではあと少し。
強い風がサラサラの細かな雪を巻き上げているのが見える。
夏ならば山頂の影は見えているのだろうか。
ココから別世界に入っていくような感じがする。
風の強い蓼科山の山頂付近
雪質が良すぎるといっても深さを感じなかった登山道は、ここから先は膝下まで雪に埋まる。
幸い雪が軽いので重さを感じず、これくらいであれば問題なく進むことができる。
ただ寒い。
完全防寒で汗をかきながらココまで登ってきて、噂通りの寒さに驚いた。
暑さで下ろしていたジャンパーのジッパーを上げようとすると、凍り付いしまい上がらない。
とりあえず登山道に沿って背を向けながら進むことに。
いつも暑いと言っているパーカーの帽子を上げると、期待していたとおりに温かい。
ただジッパーが上まで上がらないので、風で取れてしまう始末。
ジッパーが稼働できるかどうかは死活問題
足元は場所によっては太ももまで埋まる。
山頂近くのここまできて、このラッセルは辛い。
こんなに天気が良いのに、樹林帯を抜けるとこんなにも過酷な環境になるのか・・・「木に守られているんだ」と感じた。
引き返すか・・・
地面にできた雪の模様。
雪面をしっかりと見て模様に沿って歩けば、埋まらずに歩けるルートも見えてくる。
そこさえ外れずに、岩に気をつけながら歩けば埋まらずに歩くことができる。
もともと雪が軽い上に、樹林帯のサラサラした踏ん張りの効かない雪ではなく、風に吹かれて固まった雪になっているのでアイゼンも効果的。
樹林帯を抜けて山頂を巻いていくと蓼科山荘はすぐだった。
風と寒さ対策で立ち止まっている時間があったけれど、ここまで来ると蓼科山の山頂はすぐ目と鼻の先。
この場所から山頂へは向かい風になって歩くことになり、風に乗って飛んでくる雪が痛い。
サングラスをするとグラスの部分が凍り付いて視界が無い。
ジャンパーの帽子も風に向かって歩くので、煽られて取れてしまう。
いつまでも風の中で立ち止まっているのも寒いだけなので、歩みを進めて登頂。
ただ寒い
広い広い山頂は、どこへ立ったら登頂した記念になるのだろうか。
山頂の中心あたりには蓼科神社奥宮。
蓼科山荘とは反対側にやってくるとケルンが積んであり標が置かれているので、その影で風をしのぐことができた。
スタートから約3時間。
山頂には10分ほどいて下山することに。
これは長居できる場所じゃない
登りに3時間ほどかけ、山頂では10分ほどの滞在で下山を始めた。
風が無く暖かな樹林帯
強い風と雪も、埋まる足元も下りだと難なく進むことができ、樹林帯にはすぐに戻ることができた。
木の間に入った途端にかなり暖かく感じた。
そして登ってきたとはいえ、真下に続く急斜面。雪の滑る足元でしっかりと下りるのもひと苦労だった。
山頂では風や雪でゆっくりと景色を楽しむことができず、天候もどれくらい晴れていたのかシッカリと見ることができなかったのだけれど、振り返ると山頂は青々とした空が広がっている。
八ヶ岳に掛かっていた雲もだんだんと晴れてきているようだ。
下山途中、10人ほどの登山者に会った。
ほとんどが単独で、9人がアイゼン、一人がスノーシュー。
ピッケルとストックは半々という装備だった。
急すぎる下りの登山道は、少し躓いただけでも大きく足を踏み外す要因になり、尻餅をつけばあっという間にすべり始める。
高いレベルの山へいく際には、それなりの装備と仲間が大切だと感じた蓼科山だった。