ゴールデンウィーク直前に登る燕岳
燕岳へと登る合戦尾根は中房温泉から。
中央道安曇野ICから国道147号線から穂高温泉方面へ。
県道327号線からは中房温泉へ向かって狭く急カーブの多い林道を上がっていく。
中房温泉の近くには登山者用の駐車場がある。
登山口の400mほど下に駐車場があり、ゴールデンウィークを前にして朝早くから車が並ぶ。
そのほとんどが長野県以外のナンバーで、百名山ではない山にも関わらず人気の高さが伺える。
登山口の下にも広い駐車場があるが、こちらは中房温泉の利用者のためのスペースで登山では使用ができず、それを横目に登山道へと入っていく。
序盤から九十九折りに急な登り坂が始まる。
登り始めて5分と経たないうちに残雪が見え始め、20分も登る頃には登山道は完全に雪の下になった。
朝早い時間帯は固く締まり、雪の上も歩きやすい。
合戦尾根を登る
合戦尾根を登っていくなかで目安になるベンチは全部で3つ。
約30分おきに場所が設けられ合戦小屋まで続く。
最初のベンチに当たる第一ベンチは、登山口から25分ほどでの到着だった。
ここまで来ると完全に雪山といえるような雪の残り具合で、陽射しだけが暖かく春の雰囲気が感じられる。
雪の登りを折り返しながら高度を上げていき、第二ベンチは20分ほどで到着。
第二ベンチを過ぎると、だんだんと登山道の左右が斜面になり、丸みを帯びた上を歩いているような様子になった。
いよいよ尾根を歩いている雰囲気になり、見下ろせばそれなりに急斜面。
登山道が広いので危険性は低いが、滑落もあり得ないとはいえない勾配と高さで下まで続いている。
登山道はだんだんと北アルプス三大急登に数えられるのが納得できるような勾配に変わっていく。
夏であれば折り返しに登っているであろう登山道も、雪の時季は直登しているところも多く、急斜面が際立っているようにも見える。
木の合間からは常念山脈の稜線が見え、急登に体力を奪われながらも、その白さと空の青さに気持ちは高まる。
第二ベンチから25分ほどで第三ベンチを通過した。
合戦小屋へ
第三ベンチから合戦小屋へは一層急な斜面が続く。
斜面から登ってきた方向を振り返れば、谷を挟んで燕岳の前に聳える有明山が視界の高さに見えた。
第三ベンチから25分ほど登ったところで、だんだんと木が減り展望が良くなってきた。
表銀座の稜線と大天井岳を見上げるように眺望を楽しむことができる。
もう合戦小屋も近い雰囲気を感じながらなかなか着けず、緩斜面と急斜面を繰り返しながら進んで行く。
合戦小屋には登山口から1時間55分での到着だった。
1階部分が雪に埋まりながらも営業をしているようで、外にあるベンチでは休憩している人も見られた。
燕山荘へ
合戦小屋からは燕山荘に向かって斜面を直登していく。
徐々に視線の高さに揃っていく表銀座の稜線を見ながら雪の斜面を登り、目指す方向に燕岳の山頂が見えてきた。
見渡せば常念岳や北アルプス北部の山々も徐々に見えてくる。
いくつもの丘を越えるように、急斜面と緩斜面を繰り返しながらの登り坂。
すぐ近い場所に燕山荘が見えているようで、なかなかにそこには着かない。
やっとの思いで燕山荘に着いたのは合戦小屋から40分以上登ってからで、登山口からは2時間43分だった。
西側を巻いて、槍ヶ岳と穂高岳、裏銀座の稜線を見渡しながら燕山荘の入口正面へと回り込んでいく。
燕山荘から見る景色は、燕岳をいちばん良い角度で見晴らすことができるようで、ここまででも良いような気持ちにもなる。
すぐ近く見える燕岳山頂も実は30分ほどは掛かる距離で、いったん下ってからの登り返しになる。
山頂へは風を避ける物も少なく、良く晴れて陽は照っているが風は冷たい。
燕山荘から燕岳山頂へ
強く風が当たるため雪の深さの無い稜線を歩き、山頂へと近づいて行く。
燕山荘から山頂へは燕岳を代表する特徴的な奇岩があり、特にイルカ岩やメガネ岩は知名度も高くSNSなどでもよく見られる。
岩の合間を縫い、花崗岩の細かな砂礫を踏みしめながらの山頂への登り返し。
燕山荘から30分近く掛かって山頂へ到着した。
燕岳山頂
登山口から3時間10分。冷たい風が吹き付ける稜線を歩いて山頂に到着した。
山頂からは360度見渡すことのできる眺望で、槍ヶ岳と穂高岳はもちろん、ずっと見えていた裏銀座と常念山脈の稜線、隣に聳える餓鬼岳や針木岳、立山と後立山など、北アルプスの主要な山々を楽しむことができた。
山頂部はそう広くはないことと、少し下りなければ風を避ける場所もないので、景色を楽しんだら早々に下りることにした。
登りでは背を向けていた槍穂と表銀座。
山頂で見る景色も良いが、下りながら見られる景色も気持ちが楽になっていっそう楽しめるようだった。
燕岳からの下山
下山路は登ってきたルートをピストンで。
登りでは固く締まっていた雪も、時間が経ってシャーベット状になり、水分を含んで滑りやすく変わっていた。
下りでも急登は変わらないので、むしろ登りよりも気を遣うルートになった。
ゴールデンウィークを前にして、たくさんの人たちと擦れ違い、テントを担いで登っている人たちも多く見られた。