白く輝く北アルプスの女王

燕岳

2762m

2017年4月28日

  1. 登山百景トップ
  2. 北アルプスの山
  3. 燕岳 登山

北アルプス屈指の人気ルートの表銀座。
槍ヶ岳へと至る絶景の稜線を歩くルートの始点に燕岳はある。
主要な登山口は中房温泉で、北アルプス三大急登に数えられる合戦尾根が長く続く。
山頂部を覆う花崗岩とハイマツのコントラストが美しく、特徴的な奇岩が聳える山容は北アルプスの中でも人気が高い。

槍ヶ岳への眺望や裏銀座の稜線、北アルプス北部への眺めは季節を問わず気持ちが良い。
中房温泉への通行止めが解除されたこの時季は、雪の付いた北アルプスをこれ以上ない場所から眺めることができる。
稜線の燕山荘から見える山頂部は青空と雪のコントラストが美しい。
燕山荘から山頂へ続く稜線は石灰石も楽しい。

すっきりとした青空の広がる天候で強い陽射しの中で山頂を目指した。
稜線に出てからは西側から風が当たり、体感温度が低く感じられる。

歩いたコース

登り
中房温泉
下り
中房温泉
最高標高
2762m
登山口標高
1464m
距離
10.00km
累積標高
1400m
1399m
平均斜度
15.6度
時季
2017年4月
天気
晴れ
日程
日帰り
歩いた時間
登り3:32/下り1:23/合計4:55
平均した歩行速度
2.17km/h

この日のペース

  1. 中房温泉
  2. 合戦小屋(1:55)
  3. 燕山荘(2:43)
  4. 燕岳山頂(3:10)
  5. 燕山荘
  6. 中房温泉(4:55)

Amazonや書店で買える地図

山と高原地図 槍ヶ岳・穂高岳 上高地
山と高原地図 槍ヶ岳・穂高岳 上高地
Amazonで見る

4月半ばに通行止めが解除されるので、それを見計らっての登山者が多いようで駐車場は長野県外のナンバーでいっぱいでした。
たくさんの車が停まっているほとんどが関東ナンバーで、まだ雪深い北アルプスというのに人気の高さに驚きました。
合戦尾根は北アルプス三大急登に数えられていますが、夏は感じない勾配のキツさが、雪のせいか激しく感じました。
アイゼンは合戦尾根から山頂までの装着でしたが、雪の硬さや緩み具合に応じて対応するのが良さそうです。
今回の場合は登りではよく締まっていたことと、下りでは水分を含んでグリセードができたのでノーアイゼンにしましたが。
燕山荘から山頂へのルートは近く見えて意外と遠く、それでいて冷たい風が強く吹き付け、樹林帯を登る暑さを忘れる寒さでした。

ただ人気の高さが伺える絶好の眺望のおかげで、急登も雪も風も楽しめました。

持って行った水の量

ゴールデンウィーク直前に登る燕岳

燕岳へと登る合戦尾根は中房温泉から。
中央道安曇野ICから国道147号線から穂高温泉方面へ。
県道327号線からは中房温泉へ向かって狭く急カーブの多い林道を上がっていく。
中房温泉の近くには登山者用の駐車場がある。

登山口の400mほど下に駐車場があり、ゴールデンウィークを前にして朝早くから車が並ぶ。
そのほとんどが長野県以外のナンバーで、百名山ではない山にも関わらず人気の高さが伺える。
登山口の下にも広い駐車場があるが、こちらは中房温泉の利用者のためのスペースで登山では使用ができず、それを横目に登山道へと入っていく。

序盤から九十九折りに急な登り坂が始まる。
登り始めて5分と経たないうちに残雪が見え始め、20分も登る頃には登山道は完全に雪の下になった。
朝早い時間帯は固く締まり、雪の上も歩きやすい。

合戦尾根を登る

合戦尾根を登っていくなかで目安になるベンチは全部で3つ。
約30分おきに場所が設けられ合戦小屋まで続く。
最初のベンチに当たる第一ベンチは、登山口から25分ほどでの到着だった。
ここまで来ると完全に雪山といえるような雪の残り具合で、陽射しだけが暖かく春の雰囲気が感じられる。
雪の登りを折り返しながら高度を上げていき、第二ベンチは20分ほどで到着。
第二ベンチを過ぎると、だんだんと登山道の左右が斜面になり、丸みを帯びた上を歩いているような様子になった。
いよいよ尾根を歩いている雰囲気になり、見下ろせばそれなりに急斜面。
登山道が広いので危険性は低いが、滑落もあり得ないとはいえない勾配と高さで下まで続いている。

登山道はだんだんと北アルプス三大急登に数えられるのが納得できるような勾配に変わっていく。
夏であれば折り返しに登っているであろう登山道も、雪の時季は直登しているところも多く、急斜面が際立っているようにも見える。
木の合間からは常念山脈の稜線が見え、急登に体力を奪われながらも、その白さと空の青さに気持ちは高まる。
第二ベンチから25分ほどで第三ベンチを通過した。

合戦小屋へ

第三ベンチから合戦小屋へは一層急な斜面が続く。
斜面から登ってきた方向を振り返れば、谷を挟んで燕岳の前に聳える有明山が視界の高さに見えた。

第三ベンチから25分ほど登ったところで、だんだんと木が減り展望が良くなってきた。
表銀座の稜線と大天井岳を見上げるように眺望を楽しむことができる。
もう合戦小屋も近い雰囲気を感じながらなかなか着けず、緩斜面と急斜面を繰り返しながら進んで行く。
合戦小屋には登山口から1時間55分での到着だった。
1階部分が雪に埋まりながらも営業をしているようで、外にあるベンチでは休憩している人も見られた。

燕山荘へ

合戦小屋からは燕山荘に向かって斜面を直登していく。
徐々に視線の高さに揃っていく表銀座の稜線を見ながら雪の斜面を登り、目指す方向に燕岳の山頂が見えてきた。
見渡せば常念岳や北アルプス北部の山々も徐々に見えてくる。
いくつもの丘を越えるように、急斜面と緩斜面を繰り返しながらの登り坂。
すぐ近い場所に燕山荘が見えているようで、なかなかにそこには着かない。

やっとの思いで燕山荘に着いたのは合戦小屋から40分以上登ってからで、登山口からは2時間43分だった。
西側を巻いて、槍ヶ岳と穂高岳、裏銀座の稜線を見渡しながら燕山荘の入口正面へと回り込んでいく。

燕山荘から見る景色は、燕岳をいちばん良い角度で見晴らすことができるようで、ここまででも良いような気持ちにもなる。
すぐ近く見える燕岳山頂も実は30分ほどは掛かる距離で、いったん下ってからの登り返しになる。
山頂へは風を避ける物も少なく、良く晴れて陽は照っているが風は冷たい。

燕山荘から燕岳山頂へ

強く風が当たるため雪の深さの無い稜線を歩き、山頂へと近づいて行く。
燕山荘から山頂へは燕岳を代表する特徴的な奇岩があり、特にイルカ岩やメガネ岩は知名度も高くSNSなどでもよく見られる。
岩の合間を縫い、花崗岩の細かな砂礫を踏みしめながらの山頂への登り返し。
燕山荘から30分近く掛かって山頂へ到着した。

燕岳山頂

登山口から3時間10分。冷たい風が吹き付ける稜線を歩いて山頂に到着した。
山頂からは360度見渡すことのできる眺望で、槍ヶ岳と穂高岳はもちろん、ずっと見えていた裏銀座と常念山脈の稜線、隣に聳える餓鬼岳や針木岳、立山と後立山など、北アルプスの主要な山々を楽しむことができた。

山頂部はそう広くはないことと、少し下りなければ風を避ける場所もないので、景色を楽しんだら早々に下りることにした。
登りでは背を向けていた槍穂と表銀座。
山頂で見る景色も良いが、下りながら見られる景色も気持ちが楽になっていっそう楽しめるようだった。

燕岳からの下山

下山路は登ってきたルートをピストンで。
登りでは固く締まっていた雪も、時間が経ってシャーベット状になり、水分を含んで滑りやすく変わっていた。
下りでも急登は変わらないので、むしろ登りよりも気を遣うルートになった。
ゴールデンウィークを前にして、たくさんの人たちと擦れ違い、テントを担いで登っている人たちも多く見られた。

感想をお聞かせください

こちらのフォームからお送り頂けます。

メッセージは文字まで、同一IPアドレスからの送信は一日回まで
現在文字数 0文字

使った登山道具

燕岳山頂からみる表銀座

燕岳山頂からみる表銀座

燕岳は表銀座のスタート地点になります。

表銀座は北アルプスでも最も人気が高いといえるコースで、大天井岳を経由して東鎌尾根を通り槍ヶ岳へと続きます。
燕岳の稜線から槍ヶ岳をはじめとする北アルプスの峰々を眺めながらの稜線歩きはとても気持ちが良く人気が高いのも頷けます。

残雪期のこの日、始点の燕岳の山頂から表銀座を眺めました。
折れ曲がりながら繋がっていく稜線と、槍ヶ岳の手前に大きく聳える大天井岳。
まだ白さの多く残るゴールデンウィークに、この稜線を歩くことができたら、どれだけ気持ちが良いだろうかと想像を巡らせながら、山頂からの景色を楽しみました。
冬のような4月の北アルプスですが、山頂から見る街は明らかに春で、季節の違いを楽しむのも残雪期の楽しみだと思います。

下山後に立ち寄った温泉

有明温泉 有明荘

安曇野市街から中房温泉へと続く観音峠の標高1380m地点にある温泉宿。
深い緑に囲まれ涼やかな風の中で温泉が楽しめる。
冬季は林道が通行止めになるため、営業期間は4月下旬から11月下旬まで。
宿泊や日帰り温泉のほか、食事を楽しむこともできる。

中房温泉から安曇野市へと戻る途中にあるので立ち寄りやすい温泉でした。
ほんのりと硫黄の香りが漂う単純泉で、神経痛、リュウマチなどに効能があるそうです。
内湯と露天風呂がありますが、どちらも広々と緑が見えて落ち着く空間でした。
登山はしなくても、温泉と宿泊だけでも雰囲気を楽しめそうでした。

安曇野からバスが朝早くから運行しているので、自家用車でなくても訪れることができます。

燕岳周辺の山

    同じ時季に登った山