山頂にある神社 山の上って祠とか神社とか多い

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山頂にある神社

山頂に神社があることに気が付きませんか?
アルプスのような高峰でも、街から近い里山でも、山頂や登山道には神社や祠が祀られていることがあります。
とても大切に管理されているところもあれば、残念ながら荒廃が進んでしまっているところもありますが、それぞれ祀られる経緯や歴史があります。
山頂に登って神社や祠を目にしたら、とりあえず手を合わせる人も多いかと思います。
代表的なものだけですが、山頂にある神社をまとめてみました。

有名なところ ほかにも あまり知られていない山にも 意外な?ところ

昔から、やまは信仰の対象として崇められることが多かったようです。
たとえば雨乞いのため、天災を免れるため。
そこには神々が宿り、天に近い場所は祈りが届きやすいと考えられたのかもしれません。
山そのものが神として信仰を集めることもあり、富士山や御嶽山はよく知られていると思います。
御神体として崇められるのは、多くは活火山であることが多く、活発に活動する様子が神々しく感じられたのではないかと思います。

また、里にある神社の奥宮・奥社が建てられていることもあり、里宮を参拝してから奥宮へと向かうことや、年に数回だけ参拝されることもあります。
たとえば百名山の蓼科山や四阿山など、山開きの際に山頂の奥宮へ行くという行事がある山も耳にします。

有名なところでは

筑波山

関東平野に大きく聳える筑波山は、ふたつの山頂を持つ双耳峰です。
それぞれの山頂に神社があり、登山口にある筑波山神社の奥宮が祀られています。
筑波山そのものが神域として信仰を集めていたそうで、山にあるあらゆる物が御神体だったようです。
登山道上でも奇岩や巨岩が多く見られるので、信仰の様子も感じられると思います。

槍ヶ岳

北アルプスの象徴的な山のひとつ、槍ヶ岳の山頂にも小さな祠が置かれています。
狭い岩場の傍らにポツンと置かれていますが、ブログや写真などでよく見かける「槍ヶ岳」の看板もここに置かれています。
槍ヶ岳の開山は播隆上人という僧侶でした。
1828年の初登頂から5回の登頂に成功していますが、当時は鎖もハシゴもなく、現在とは比較ができないほど難易度が高かったと思います。
祠が祀られている経緯は分かりませんが、播隆上人の登頂に掛けた思いに耽ることができます。

奥穂高岳

槍ヶ岳と並ぶ北アルプスの代表的な山で、もっとも標高の高い山です。
山頂には穂高神社嶺宮が置かれています。
ふもとの安曇野市にある里宮は北アルプスを背にするように建ち、拝殿からは北アルプスの方向へ手を打ちます。
北アルプスの総鎮守で、祀られているのは「穂高見命」です。
明神岳直下の上高地明神池には、奥宮があり、山の安全を祈願する神事が行われています。
奥穂高岳へ登ったら、合わせて安曇野市の穂高神社へも参拝するのも良いと思います。

男体山

男体山は日光連山の代表的な山で、中禅寺湖越しに見える男体山はとても存在感があります。
山全体が二荒山神社の神域とされているため、登山をする際には二荒山神社へ入山料を納めます。
山頂部には奥宮が建ち、祭神の大己貴命の像がありますが、剣のモニュメントが建てられていることでも知られています。
二荒山神社は、男体山の他に女峯山と太郎山も御神体として祀っており、それぞれに祀っている神様が違っています。
また日光の輪王寺では、二荒山神社の祭神を本地仏として仏様の名前で祀っているのも興味深いところです。

御嶽山

2014年の噴火で大きな被害の出た御嶽山ですが、3000mを越える大きな独立峰です。
山体が御神体として信仰され、長野県側の王滝村に建つ御嶽神社、8合目に建つ御嶽頂上奥社、山頂部にある頂上奥社本宮など、多数の社殿や信仰が見られます。
奈良市に教団本部のある御嶽教が国常立尊と大己貴命、少彦名命を祀り、麓の木曽町では登山の安全祈願を行っています。

立山

北アルプスの立山は、富士山や白山と並んで日本三霊山に数えられる山です。
越中一宮の雄山神社が置かれ、立山連峰の南峰、雄山には雄山神社峰本社があります。
山頂部の肩に社務所が建ち、そこから鳥居を潜って社殿の建つ山頂へ入ります。
麓の立山町芦峅寺に中宮祈願所、街に近い岩峅寺に前立社壇があります。
いずれも立山町で、駅からも遠い場所では無いので、興味があればオススメです。

白山

白山も日本三霊山のひとつです。
北陸を代表する大きな山体の山で、白山比咩神社が祀られています。
山頂の御前峰に奥宮の社殿、直下250m付近の室堂には祈祷殿、麓に里宮が建てられています。
全国の白山神社の総本社で山岳修行や神仏習合の霊場だったそうです。
美しい苔で知られる福井県勝山市にある平泉寺との関係があり、仏教とも密接に繋がっている歴史があります。
白山市と勝山市は隣同士ですので、白山比咩神社と平泉寺と合わせて訪れるのも良いと思います。

他にも

赤岳

赤岳は八ヶ岳の主峰で標高2899mの山頂にふたつの社殿が建っています。
ひとつは赤嶽神社。
祭神の国常立命は、日本神話の中では最も古い神様といえ、山に祀られる神社の中ではよく見かける印象があります。
長野県諏訪地域で7年に1度行われる御柱祭と同様に、赤嶽神社の社殿の四隅にも小さな柱が建てられています。
もうひとつの社殿は太政宮で、こちらにはたくさんの神様が祀ってありますが、赤嶽神社とは関連は無いようです。

常念岳

長野県安曇野の象徴的な景色を作るのが常念山脈だと思います。
前衛の有明山から背後に連なる燕岳、横通岳、常念岳、蝶ヶ岳と美しい稜線が続きます。
常念岳はその主峰で標高2857m、美しい三角錐が特長です。
山頂にある祠は穂高岳に背を向ける東を向いて建ち、まるで北アルプスへ向かって手を合わせているようにも思います。
謂われなど詳しいことが分からないようですが、松本市街の岡宮神社が管理をされているそうです。

志賀高原笠ヶ岳

志賀高原にある笠ヶ岳は、周辺の街からは特徴的な釣り鐘形に見えることで知られています。
渋峠側からは鋭く尖った尖塔系でインパクトのある山で、山頂には石で作られた佐野神社奥宮があります。
佐野神社は長野県山ノ内町にある神社で、安土桃山時代に作られた美しい色彩の本殿は重要文化財に指定されています。
諏訪大社と同じ健御名方命を祀り、もともと3つの神社を合祀した経緯があるためか大山祇命や大己貴命など6柱の祭神が祀られています。
笠ヶ岳は山頂直下まで車で行け、階段も整備されているため、とても登りやすい山です。

あまり知られていない山にも

志賀高原志賀山

志賀高原の裏志賀山には志賀山神社があります。
志賀山は四十八池と大沼池という湖沼に囲まれた山で、妙高エリアにある黒姫山と並んで黒姫伝説の舞台にもなっています。
志賀山、裏志賀山と隣併せにふたつの山が並んでいますが、神社があるのは裏志賀山です。
四十八池から木道を歩くと鳥居があり、それを潜ると登山道らしい急登が続きます。
志賀山は樹林帯に覆われた山なので眺望はありませんが、山頂を少し外れると周囲の湖沼をはじめ志賀高原が一望できるような景色が楽しめます。
志賀山の神社についての由緒は分からないのですが、黒姫伝説の大蛇が棲んでいたという大沼池、それを見下ろす場所に祠が作られていると思うと趣も違って感じられました。

風越山

中央アルプスの前衛に聳える風越山は、長野県飯田市の象徴ともいえる山です。
標高1535mほどですが、たくさんの登山道があり、部活動やトレランでも走られることがあるとか。
山頂の手前30分ほどのところに山の中とは思えないほど立派な社殿が建っています。
登山道中盤には大きな弓矢が置かれ、さらに登ると木造の大きな鳥居、そのさきに真っ赤に塗られた社殿があります。
飯田市内に建つ白山社の奥宮で、祭神は白山と同じ菊理姫命です。
奥宮へ近づいていくと石碑や石仏が見えるようになり、信仰の様子が見られるのも楽しめます。

守屋山

諏訪市と伊那市の境にある山で、諏訪大社の御神山ともいわれています。
諏訪大社の祭神は御名方命で、最上階級にある大祝が御神体とされています。
そのため守屋山を御神体とする歴史はないとそうですが、諏訪大社に関連する家の中に守矢氏がいることを思うと、「守矢氏→守屋」で何かしら謂われがあるのでは...とも思います。
西峰と東峰の双耳峰で、東峰を少し下りたところに守屋神社奥宮が置かれています。
石造りの祠を鉄製の柵が囲い、少し物々しい雰囲気もあります。
とても眺望の良い山ですし、気軽に登ることのできる高低差でオススメです。

こんなところにも

八ヶ岳権現岳

権現岳は八ヶ岳の南端に位置する山です。
尖った巨岩の立つ特徴的な山で、ギボシというもうひとつの山頂があります。
山頂の真下には檜峰神社という小さな祠があります。
祭神は八雷神を祀り、本当か嘘か、この名前が八ヶ岳に由来するのではという説もあるそうです。
権現という山名が示すとおり、霊山としても知られていたようです。

車山

車山といえば百名山の中でも山らしくない山の霧ヶ峰最高峰です。
山の斜面にスキー場が作られているので、リフトを乗り継いで山頂近くまで登ることができますが、車道も通っているため、そう高く登らなくても車山山頂まで行くことができます。
その山頂部には大きな球体のある観測所と、傍らに小さな車山神社が建っています。
小さな鳥居と小さな祠の神社ですが、その四角には御柱が建てられ、山の信仰や鎮守として安全を願われてきたそうです。
諏訪大社の御柱祭に合わせて小宮祭が行わるのですが、山から大木を下ろしてくる諏訪大社に対して、木を山頂に引き上げるという珍しい神社です。

伊吹山

伊吹山といえば近畿を代表する名峰のひとつです。
標高は1377mですが標高だけでは推し量れないほどの存在感があると思います。
特に濃尾平野から見る大きさ、琵琶湖畔から米原へと向かう際に見る山容は迫力が感じられます。
夏季は車で山頂付近まで行けるので、とても気軽に山頂が楽しめるのですが、麓から登ると高低差が大きく時間もそれなりに掛かります。
山頂には祠とヤマトタケルの像があるのですが、ヤマトタケルといえば伊吹山の神と戦って返り討ちに遭っています。
そのケガから命を落とすことになるのですが、伊吹山の近くにある醒ヶ井という宿場町では、居醒めの清水というヤマトタケルが身を休めた場所があります。

神社や祠が祀られている山は、全国各地に数多くあるので、全てを拾い出していくとキリが無いほどなのですが、それぞれに謂われがあったり思いがあったりと、見ていくと興味深いこともあります。
登って楽しい山ですが、各地の謂われを知ることで、さらに登山を楽しむこともできるのではないかと思います。