上田市側から登る四阿山
まだ夜が明けきらない朝5時過ぎ。
あづま高原ホテルの駐車場に着いた。
登山者向けの駐車場には、だいたい30台ほどが停められる。
まだ大きく空きがあるものの、暗いうちから車が停まり、四阿山へ向かっていくひとがいるのは、このあとの混み具合も想像できる。
登山口での待ち合わせから準備を整え、早々に登山口へ。
東の空に陽が昇り始めていたものの、まだ周囲は薄暗い。
車道からホテルの横を過ぎ、登山口から別荘が建ち並ぶ樹林帯の林道へと入って行く。
前回の山は1ヶ月前。
久しぶりに体を動かすので体力的に不安。
林道から牧場へ
薄暗い中、車が通れるほどの幅がある林道を上っていく。
うっすらと雪があり、滑るようなところもなく歩きやすい。
10分ほど歩いたところで、鉄製のゲートに出た。
四阿山への標識はゲートの先を指し、ゲートを避けるように踏み跡が付いている。
踏み跡にならってゲートを避けると、そこから先は細い登山道。
なだらかな登りで、周りをひざ丈ほどの笹が覆っている。
右手側からは太陽が昇り、ようやく夜が明けていくようだった。
まだ序盤、なんとか歩けてる
広い牧場を登る
ゲートから10分ほど登ったところで、目の前が広く開けた。
雪の少ない3月で、一面の雪景色というわけにはいかなかったものの、広い丘のような眺め。
その向こうには白い根子岳が見え、小四阿を挟んで四阿山の山体が見える。
四阿山の山頂部はあの先。
足元の有刺鉄線を跨いで、固く締まった雪の上を歩いていく。
標識などの明確な登山道を示すものは見当たらず、登山道に合流するまで牧場を横切って登っていく。
5分ほど牧場内を登ったところで振り返ると、低くなった樹林帯の向こうに浅間山が見えた。
浅間山から外輪山、篭ノ塔山、湯の丸山と長野県東信地域の山々が並ぶ。
赤らんできた空に青白い山が美しく、何度見ても飽きない景色だった。
何度も振り返り、少しずつ角度が変わっていく景色を眺め、カメラに収めながら登っていった。
あとで見返したときに、同じ写真ばかりじゃないかってなるヤツ。
牧場を登りながら、これから向かっていく斜面を見ると、樹林帯の中に木が開けたようなところが真っ直ぐに見える。
手元のGPSを見ても、直進をして行くように見える。
きっとあれが正しい登山道だろうと想像しながら、牧場内の雪の上を自由に歩き回る。
小さく柔らかそうな質感の吹き溜まりや、風に吹きさらされながらできた模様など、まだ角度の低い陽の光に照らされてできた影がおもしろい。
久しぶりだからか、見るものアレコレ楽しい。
ゆっくりと登り進みながら、牧場内から徐々に正規の登山道へと戻っていく。
登山道には有刺鉄線が張られていたり、ときどき四阿山へのコースを示す標識が立っている。
振り返って見える北アルプスへの眺望は、相変わらずの眺めの良さ。
高く登った分だけ見える山並みが増え、戸隠連峰、高妻山までも見渡せるようになってきた。
同行のブロガーふたり
牧場から樹林帯へ
牧場内にある登山道をまっすぐに登っていくと、樹林帯へと入っていく。
斜面はなだらかで、踏み跡もしっかりと付いている。
ただ2・3日前に降った少しの雪で、登山道から外れたところが膝下まで埋まる程度。
朝陽も高くなり、行く先からちょうど朝陽が差し込んで眩しい。
樹林帯に入ると眺望が無くてつまらない
白樺が多く生えた間を縫うように踏み跡が続き、それに沿って歩いて行く。
木が開けたところでは右手側に浅間山があり、群馬県側の斜面が見えた。
左側には、菅平から登ってくる登山道のある尾根が見え、小四阿の巨岩群が雪から顔を出していた。
牧場から樹林帯に入って15分ほど登ったところで、幟旗が立っているのを見つけた。
たくさんの岩が積み上がったような場所で、よく見ると岩の影には祠も置かれている。
幟旗に書かれた山家神社という文字から、関連するものなのだろうと思えた。
上田市にある山家神社に関連するものなのかな?
8合目への登り
祠のあった岩から尾根が続いていたかのような地形で、尾根の肩をトラバースするように登山道は角度が急になっていく。
浅間山への眺望は無くなり、単調で特に変化の無い登り坂が続く。
高く見えていた小四阿が徐々に視線の高さに近づいてくると、木々が開けた場所も目立つようになってきた。
それまで周りを覆っていた木々や枝が無くなり、斜面の雰囲気も開放的に変わる。
振り返ると、標高が高くなった分だけ北アルプスへの眺めが良く、すっかり陽の光を受けた山々が明るく見える。
小四阿が高く見えなくなってくると、その向こうには根子岳の山頂部が見えた。
例年より雪が少ないとはいえ、まだ雪深いようにも見える。
振り返って見える景色は、菅平を一望し、その遥か先に周囲を覆うように北アルプスが聳えていた。
景色が良く見えるようになってきた
まわりの木々は疎らになり、尾根の上へ登るように登山道が続く。
登山道上の大きな石には8合目の文字と矢印。
周囲に大きな石が転がる雪原のような斜面に出た。
景色を遮る物はほとんどなく、それまで見えていた以上の眺望が得られる。
浅間山は東側の浅間隠山から湯の丸山まで広く見え、八ヶ岳や北アルプスも一望できた。
8合目から固く締まった雪と岩の登山道を登っていくと、すぐに鳥井峠からの登山道と合流した。
ここまで登ってくると、ようやく山頂部が見えてくる。
ピョコって山頂が見えるのが好き
8合目から四阿山山頂へ
鳥井峠からの登山道と合流して、なだらかに登っていくと尖った山頂部がちょこんと見える。
緩やかな木々の向こうに少しだけ見える三角が特徴的で、なかなかユニークな印象を受ける。
そこまでに続く針葉樹の森は登りも緩やかで雪原を歩くよう。
ずっと浅間山の眺めが良く、遠くの景色を眺めても間近の木々を眺めても楽しい。
徐々に山頂へ近づいていく。
菅平からの登山道と合流して少し登ると登山道は針葉樹の森へ。
それまでの眺めの良さから、木々を間近に見る景色が広がる。
それまで固く締まっていた足元の雪は、ところによっては膝まで埋まるくらいに柔らかく、踏み跡も明瞭というよりはどこでも歩き回っているというような雰囲気だった。
木々の間を縫うように踏み跡を追い、間近に見える葉や氷を見て楽しみながら登山道を進んで行く。
四阿山も久しぶりなので、あまり道を覚えていない
根子岳への縦走路の分岐は広く、なだらかに開けている。
ここまで来ると山頂までもひと息といったところになる。
ふたたび木々の間を抜けていくと、ずっと見えていた見えていた山頂部が間近に。
僅かに下りる地形のせいもあってか、ここからの四阿山山頂は形が良く、登山道上ではもっとも美しく見える場所のひとつだと思う。
山頂部の三角形を見るなら、ここが一番イイと思う
ゆるく下ってから山頂への急登。
まっすぐに登っていく雪の登山道は爽快だった。
夏季なら階段があり小さな峰を巻きながら山頂へ立つところを、積雪期だけはまっすぐに登って最も高いところへ立つことができる。
雪の四阿山の魅力はここに凝縮されている。
冬の四阿山の一番良いところ
四阿山山頂
あづま高原から登り始めて2時間52分。
四阿山の山頂に着いた。
山頂部に建つふたつの社殿のうち、ひとつは完全に雪に埋もれ、もうひとつは半分ほどが露出している状態だった。
スタート時に雲ひとつなく晴れていた空は、うっすらと雲がかかり、周囲の景色は霞んだようにも見える。
東側に見える浅間山は噴煙を上げ、北側には志賀高原、西側の戸隠連峰や、そこから南へと延びる北アルプスなど、ぐるりと360度を見渡せる絶好の眺めだった。
吹き付ける風が冷たく、それを遮るようなものもない山頂で、じっとして景色を見ているのも体が冷えていくため早々に山頂をあとにした。
山頂は狭いし、あれこれやろうと思っていたけれど、実際やることが無い。
こんな様子を見ているのも楽しい
特に3台も担いでくる赤い帽子・赤いザックの人が・・・
下山
四阿山を後にして、登りと同じ登山道を下りるピストンであづま高原へ。
振り返りながら見てきた景色は、下山では正面に見ながら歩くことになるため、北アルプスと浅間山がいつまでも見え続ける。
登りでは目につかなかった近いところの景色も、角度の変わった下山中では視界に入る。
浅間山を眺め、四阿山を振り返って山頂部を眺め、ゆっくりと標高を下げていった。
雪の下りは膝に優しい
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山頂をあとにする -
相変わらず浅間山を見ている -
だんだんと白く霞んできた気がする -
枝から出ている茶色の棒が気になって・・・ -
四阿山を振り返る -
八合目を下りていく -
北アルプスの空も白く見える -
下りてくると浅間山への眺めが変わる
牧場まで下りてくると、晴れていたように見えた北アルプスに、一直線に光が当たっているようにも見えた。
山頂と麓だけが曇り、中腹だけが白く光って見える不思議な景色だった。
どうしてアルプスの山肌に陽の線ができたのだろう?
落とし物の密度が凄い。
牧場内は雪が少ない状態で、特に登山道を気にせずに歩くことができたものの、至るところに動物の落とし物が多く、足の踏み場に困った。
どこに足を置いても踏んでしまいそうな密度で、ならば最短の草の上ではなく雪の上を歩きたい状態だった。
牧場を過ぎ、林道へと戻ると登山口はすぐ。
すでに駐車場には車が入りきれず、数百メートル下の路肩まで車が停められた状態が見えた。