子檀嶺岳

1223m

落ち葉の急登

2023年1月

子檀嶺岳 村松西洞 (1月)|岩壁を見る急登のコース
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子檀嶺岳は長野県青木村の北面に聳える信仰の山。
東西に伸びた台形の山頂部が特徴的で、子壇嶺神社の奥社の社殿が建てられている。
城塞として使用された歴史もあるようで、険しい地形と眺望の良さに地形の優位さが感じられる。

山の東西、南面に登山道があり、中でももっとも急な斜面を登る村松西洞コース。
山頂直下の南正面に見える岩の間近を通り、見るからに険しそうな雰囲気を醸している。

降雪が少ない上田市西側の1月。
陽当たりの良い山の南側は、多くの積雪がもなく登りやすそうに見えた。

最高標高
1223m
登山口標高
670m
距離
4.17km
登り
村松西洞
下り
村松西洞
行動時間
登り1:04・下り0:38・合計1:42
累積標高
551m
550m
平均斜度
14.78度
歩行速度
2.46km/h
時季
2023年1月
天気
晴れ
日程
日帰り

歩いたコース

この日のコースタイム

  1. 林道ゲート
  2. 仏岩(0:40)
  3. 合流(1:01)
  4. 子檀嶺岳 山頂(1:04)
  5. 林道ゲート(1:42)

何度か訪れている子檀嶺岳ですが、村松からのルートだけ歩いたことが無かったため、いつ登ろうかと思っていました。
最も急登の厳しいルートだと思います。
そのかわり、登山道上からの眺めが良く、山の形状を最も知ることができると思います。
青木村から見て正面に見える斜面を登るので、下りてからも感慨深く感じられると思います。

使った登山道具

持って行った水の量

急登の子檀嶺岳村松西洞

上田市から西へ向かい修那羅峠方面へ。
麻績村へと繋がる国道の道中で青木村が広がる。
女神岳や大明神岳といった端整な三角錐の里山と、青木村の南に見える独鈷山の荒々しい岩峰群、その反対側には子檀嶺岳。

青木村の道の駅近く、村役場の横から村松地区の急な坂道を上っていくとゲートがあり、その横に数台の車が停められるスペースがあった。
準備を整えてゲートを開ける。
しばらくは林道を登っていくのが子檀嶺岳らしくて良い。

子檀嶺岳登山

子檀嶺岳のあちこちにある林道の地図が欲しい

アスファルトの上にはうっすらと雪が乗り、木陰では固く凍っていた。
滑りやすい足元に気をつけながら進んで行くと陽当たりが良くなり、バリバリと音を立てていた道路は、泥濘んで滑りやすく変わる。
アスファルトはいつの間にか終わって、大きな窪みや溝が目立つ林道になっていた。
林業のための大型車や重機なら、この窪みも難なく通過していくのだろう。
いつかこの林道がどこへ繋がっているのかを確かめてみたい。

林道の左右には「止山」と書かれた貼り紙が目立つ。
きっとこのあたりの山と同じように茸が生えるのだろうと想像をしながら、なんとなく気まずく感じつつ林道を進んで行く。
決められた登山道以外に立ち入るつもりもないので、後ろめたく思うこともないのだけれど。

子檀嶺岳登山

このあたりは茸山が多くて、あちこちで見る気がする

10分ほど登ったところで山頂を指す看板が建っていた。
ここが本来の登山口らしい。
丸太を括り付けた橋を渡ると、斜面を横切りながらの登り坂が続いていく。
序盤からなかなかの急登で、山の形状から覚悟はしていたものの、やはり序盤からの急登は堪える。

雪や凍みたところもなく、ソールに感じる落ち葉の柔らかさが登りやすい。
ただ角度が緩まる気配はなさそうで、急斜面を横切ったり、右へ左へと折り返して登山道が続いて行く。
木々が厚いため周りに見える景色はなく、黙々と斜面を登り、ゲートから30分ほど経ったところで正面に山頂部が見えた。
麓の街から見えた岩壁が近い。
右側には当郷管社コースと思われる尾根が見えた。

子檀嶺岳登山

眺めが良いと気分が晴れる

登山道の日影には乾いた雪が目立ち、場所によっては凍結している雰囲気に変わった。
岩壁を間近に見てから5分ほどで、急登から緩斜面に変わった。
南側にある湯坂山と子檀嶺岳を繋ぐ尾根に出たようで、この地点で標高は約980m。
緩やかな尾根の先にはさらに急な斜面が見える。
穏やかな呼吸で歩けるのは、ほんの僅かなようだった。

子檀嶺岳登山

なだらかだと思った瞬間に、すぐそこに急登が見えるヤツ

テープが風に靡いて先を遮っているみたい

それまで葉の付いた木々の間を縫って登ってきたのが、尾根に出ると急に葉の落ちた木々に変わり、一気に陽当たりが良くなる。
日影で雪が残り凍っていた様子は一変した。
ここまでの単調な急登も、段差が高く、石を踏むような斜面に変わって、まったく別の山に来たような雰囲気の変わりようだった。

右側には岩壁。
これがきっと仏岩なのだろうと、それらしく見える角度があるのだろうかと、チラチラと見ながら登る。
木の根を踏み、岩の段差を越えると、仏岩を指す看板が建っていた。
近づくなと書かれてはいるものの、明かな踏み跡と、矢印に惹かれて仏岩の方向へと進む。
ただ垂直に近い岩壁の上を歩くことは、見るからに分かっていたので、看板の通りに近づきすぎないように気をつけた。
眺めの良い場所で仏岩を見下ろすものの、期待したほど、それらしい形には見えなかった。

子檀嶺岳登山

仏といえば仏に見えないこともない

すぐに元の登山道と合流し、さらに登りは急斜面になっていく。
このあたりでは落ち葉が乾いて、まるで氷の上に足を乗せているように滑る。
しっかりと踏み込まないと、乗せた足が落ち葉ごと下へと流れてしまうようで、段差がある方がどれだけ楽かと感じた。
もし転倒しようものなら、滑ったままどこまでも落ちていきそうな斜面。
九十九折りであることが安心で、直登するようなところは、手に持ったストックをしっかりと突いた。

子檀嶺岳登山

滑って危ない

仏岩から10分ほどで眺めの良い場所に出た。
尾根の右側が深く切れ落ちた場所で、眺めが良いということは、木々がなく捕まることができない場所。
あいかわらず落ち葉は滑りやすく、足を停めれば眺めを楽しむ余裕はあるものの、歩き出したら転ばないようにと気を配る。
ただ、東側に見える上田市街と遠くの浅間山外輪山、西側の北アルプスと四阿屋山までに折り重なる山波がキレイだった。
まったく雰囲気の違う景色を楽しめる尾根は、滑りやすい緊張感を充分に和ませてくれた。
山頂は近い。

子檀嶺岳登山

滑る

先を見ると尾根らしい地形と木々の向こうが明るく見える。
田沢嶺浦コースとの合流地点が近い。
合流すれば山頂はすぐ。

子檀嶺岳登山

葉っぱの下は凍ってそう

想像以上の滑りやすさで、山頂に着けるのかと緊張感が高まっていたところに少し安心感が持てた。

葉の無かった木々から、また葉を付けた木々の間を歩くように変わったため、日影ができて雪が残っている。
しかも標高が上がったぶんだけ、凍みているところも多い。
登りよりも下りで難儀しそうだった。

ゲートから1時間を過ぎたころ、山頂から繋がる尾根に出た。
田沢嶺浦コースとの合流地点から尾根を少し登り、登り切って平坦になったあと少し下ると山頂に建つ社殿が見えた。

子檀嶺岳登山

尾根の上は風が冷たくて

子檀嶺岳山頂

ゲートから1時間4分で子檀嶺岳の山頂に到着した。
ふたつの社殿と祠が南に向けて1基置かれている。

眼下には青木村と上田市、南へ広く視界が開け浅間山が大きく見えた。
遠くには蓼科山が見え、手前には独鈷山や女神岳と夫神岳。
雲が多いながらも良く晴れているおかげで上田から南側の眺めが良い。
山頂の北側は木々が茂り南側ほどの眺望はないものの、間近には聖山が見える。
雪雲が厚いために北アルプスは白く見ることができなかった。

子檀嶺岳登山

無事に登ってこられて良かった

下山

下山は登りと同じ村松へのピストンだった。 山頂から数分の尾根上は風が吹き冷たく指先が痛む。
分岐から南向きの斜面へと下りて風から逃れることはできたものの、登りで苦労した急勾配と落ち葉の滑りやすさは、下りで怖さを感じるほどだった。
気を抜くと尻餅を突いて滑り落ちそうで気が気ではなかった。

子檀嶺岳登山

登りより下りの方が怖い

葉の無い木々が並ぶ一帯は特に落ち葉が厚く、ソールを蹴り込むようなこともできない。
視界を遮る葉がないので眺めが良いものの、尾根横の急斜面も視界に入り、さらに緊張感が増す。

なんとか仏岩の近くまで下りて、ようやく斜面が緩まり、落ち葉も減ったために歩きやすさが戻ってきた。
登りでは大変だと感じた序盤の急登も、下りでは安心感のある急坂に印象が変わっていた。

子檀嶺岳登山

暖かな樹林帯は良い

登山口を示す看板まで下りてくると、林道の氷はすっかり溶けていた。
足元は泥濘んで、登山靴には泥が付く。
車で上ることができる程度の勾配で幅も広く、のんびりと歩けるように思えていたところで、日影に残る氷で足を滑らせた。
転ぶことはなかったものの、車で踏みしめられて固い地面では転びたくもなく、ここまで下りても気が抜けないのかと。

凍って滑るじゃないか
子檀嶺岳登山

車道の凍結ほど転んで痛いものはない

下山後に立ち寄った温泉

室賀温泉ささらの湯

上田市室賀の日帰り温泉施設。
とろみのあるお湯で、美肌の湯として知られる。
泉質は単純硫黄温泉で、内湯と露天風呂、サウナが楽しめる。
筋肉痛や関節痛、疲労回復の浴用があるとされる。

室賀ということで戦国時代の豪族ゆかりの地で興味深く訪れました。
とろっとした感触と、温泉の香りが良く、温度も熱すぎず入りやすい印象でした。
洗い場の中心に4・5人ほどのサウナが建てられて、それを囲むようにシャワーがあるのが斬新でした。

休憩スペースも広く、近隣の山から立ち寄るのにちょうど良いと思います。

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