前穂高岳

3090m

ハシゴと鎖の重太郎新道

重太郎新道 2015年8月23日

前穂高岳 登山(重太郎新道) (8月)|鎖と梯子の連続するルートを日帰りピストン
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前穂高岳は穂高連峰を形成する山のひとつ。
岐阜県と長野県の県境に位置する穂高連峰の中で唯一長野県に位置している。
上高地の河童橋からは明神岳の奥に見える。
吊り尾根で繋がる奥穂高岳は日本第三位の標高を誇る。

朝、一番のバスで上高地へ。
この季節の沢渡から出発するバスは朝5時頃出発。
早ければ5時半頃には上高地へ入ることができる。

登り
重太郎新道
下り
重太郎新道
最高標高
3090m
登山口標高
1500m
距離
11.81km
累積標高
1600m
1600m
平均斜度
15.3度
時季
2015年8月
天気
晴れのち曇り
日程
日帰り
歩行ペース
登り4:15/下り3:02/合計7:17
平均の歩行速度
1.75km/h

この日のペース

  1. 河童橋
  2. 岳沢(1:45)
  3. 紀美子平(3:47)
  4. 前穂高岳 山頂(4:15)
  5. 紀美子平
  6. 岳沢(6:00)
  7. 河童橋(7:17)

歩いたコース

Amazonや書店で買える地図

山と高原地図 槍ヶ岳・穂高岳 上高地
山と高原地図 槍ヶ岳・穂高岳 上高地
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上高地の河童橋から正面に見える山のひとつです。
梓川の先に見える穂高岳連峰の斜面に見えるグレーの岩場を岳沢へと登り、そこから梯子と鎖の急登が始まります。
高低差もある上に標高が高いので、日帰りはちょっとハードでした。
シーズンだからだと思いますが、岳沢から森林限界に到達するまで虫に悩まされました。最後の岩場を登り切った山頂から眺める涸沢や前穂高岳南陵は素晴らしかったです。
雲が晴れていれば奥穂高岳も槍ヶ岳も見渡し、徳沢を見下ろすことができたと思うと残念ですが、達成感は一入でした。

使った登山道具

持って行った水の量

前穂高岳へ岳沢から重太郎新道を登る

マイカー規制のためシャトルバスで向かう上高地。
夏山シーズンは朝4時台からバスが発着している。
駐車場に車を停めると、バス待ちの登山者に声を掛ける乗り合いタクシーと、バス停でチケットを購入する人たちに会った。
人数が合えばタクシーで向かうのも時間が短縮できて良い。
どちらも一律料金で松本市の沢渡の駐車場から30分ほど、朝靄に霞む緑を眺めながら揺られていく。

上高地のバスターミナルではすでに到着した人たちが荷物を整えていた。
たくさんの人たちに混じりながら5分ほど歩くと河童橋へ。
橋から穂高岳を見上げると雲に覆われた中にうっすらと影が見える。
梓川の流れを見ながら河童橋を渡り、岳沢への登山口を目指して遊歩道を進んでいく。

岳沢へ

水の流れを聞きながら遊歩道を進むこと15分。
登山口に到着した。ここから本格的な登山道へと入っていく。
周りには深い緑、足元には大きな石が転がっている。

綺麗に整備されているので、その石段のように登山道に埋まり浮き石も無く歩きやすい。
枝の合間のところどころから穂高岳の稜線が見え、振り返ると河童橋のある小梨平を覆う雲海を見下ろした。

20分ほどで岳沢名物の風穴を通過した。
ここは岩の隙間から噴き出る冷たい風が気持ちが良い。
風穴を過ぎると5分ほどで上へと続くカールの岩場に出た。
この岩場は河童橋から見える景色の特徴的な場所。
このカールの上に岳沢がある。
見上げるとピークの連続する西穂高岳の稜線。
右へと標高が上がって奥穂高岳が見える。

岩場から登山道は再び木のトンネルの中に入っていく。
だいたいこのあたりが上高地と岳沢との中間地点。
標高が上がってくると徐々に身の回りに花もチラホラと見えてきた。
紫の花が多くついたトリカブトが印象的な登山ルート。
再びカールを渡ると岳沢小屋に到着した。

河童橋のスタートから1時間45分ほど。
予定よりも早い時間に到着したせいか張られたままのテントも多く見られた。

重太郎新道を登る

岳沢を過ぎると登山道の周りにはたくさんの花が咲いていた。
右へ左へと折れる斜面を登りながら見渡す花が綺麗で気持ちが良い。
だんだんと岳沢小屋が低く見えるようになり、登山ルートは土から岩が目立つようになり高い段差を登る。
小さな虫も目立つようになり、顔の周りを飛び回るのが癪に障る。
油断をすると耳や口に入りそうになる。

最初の梯子は岳沢小屋から約30分。
狭く急な岩場をよじ登ったあとにやってくる。
30段ほどあるような梯子は真下の崖。
足元を確認しながら梯子を登ると、続く岩場のあとに木製の梯子。

岳沢から岩場を登ること40分ほど。カモシカの立場に到着した。
天候が良ければ上高地を見渡すことができ、焼岳や乗鞍岳などの山並みも楽しめる。
再び大きな岩の転がる急勾配を登っていく。
見上げていた西穂高岳の稜線はだんだんと視線の高さに近づき、明神岳の険しい岩壁も間近に見える。

カモシカの立場から30分ほどで森林限界に出た。
ここまで登って周りを飛んでいた小さな虫も減った。
さらに登ること30分で雷鳥広場。虫が減った代わりにガスが出てきた。
見上げる先は真っ白で、稜線の眺めも無くなった。

雷鳥広場を過ぎると木が敷かれたガレ場を通過。
崩れやすいガレ場も木で整備されているので歩きやすい。
するとすぐに長い鎖場を登る。
長く連続する鎖場を登り切ると奥穂高岳との分岐点の紀美子平に到着した。

紀美子平から前穂高岳山頂へ

奥穂高岳からの合流地点になっている紀美子平は、岩場が広く平らになっていることもあり、休憩をする人も多い。
ここで荷物をデポして前穂高岳へ登る人も多い。

紀美子平と書かれた標の後ろから山頂への岩場を登っていく。
勾配がきつく落石の可能性もあるので注意をしながら。

登山ルートの幅は狭いが高度感はあまり無いので歩きやすい。
ただ捕まる場所の少ない岩場も多いので、十分に足元に注意をしていく。

たまに雲が切れて見晴しが良くなると、すぐ近くに聳える奥穂高岳が高く壁のように見えた。

前穂高岳山頂

紀美子平から30分。上高地からは4時間15分。
前穂高岳の山頂に到着した。
山頂は一面の岩。

厚く流れる雲の中で眺望は少ないので、見えるはずの槍ヶ岳や眼下の景色を楽しむことはできないが、たまに見える涸沢カールや、涸沢岳から奥穂高岳への稜線の迫力が感じられた。
前穂高岳へと向かってくる登山者には奥穂高岳からの縦走が多いようで、話を聞くと前日の様子やこれからの予定が伺える。
天候のために眺望は無くてもここまで登った達成感で気持ちが良く、ガスが晴れるかもしれないという期待感でしばらく山頂でゆっくりしたい気持ちになる。

重太郎新道を下山

下山ルートは登りと同じ重太郎新道をピストン。
鎖場は登りよりも下りの方が気を遣い、浮き石に注意を払って歩いてく。
何人かで歩くグループも目立つので、鎖場や梯子では前の人が通過するまで近づかないように待つことも多い。
11時や12時を過ぎてからも岳沢に近い場所を登ってくる人も多く見られ、予定を聞くとこれから奥穂高岳を経由して山小屋に泊まるとか。
時間を計算すると夕方や日没を過ぎてからの到着になることも考えられ心配せずにはいられなかった。

岳沢小屋までは英語の案内もあるようで、外国からの観光客と多くすれ違った。

前穂高岳からの下山は岳沢まで1時間45分ほど。
上高地までは合計2時間ほどでの到着だった。さほど距離は長くないので高低差と岩場に気をつければ順調に日帰りできる。

重太郎新道の花

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前穂高岳から見下ろす涸沢カール

前穂高岳から見下ろす涸沢カール

穂高岳は登った山の中でも特別な気持ちを持っている山のひとつです。

初めての登山が穂高岳を見上げる涸沢カールだったことも要因のひとつですが、「穂高」という名称には縁があることももうひとつです。

初めての穂高岳

初めて穂高岳に登ったのは上高地から重太郎新道を通ってザイテングラード、涸沢から横尾へと抜けるルートでした。

2泊3日の行程で、初日はのんびりと上高地から岳沢まで。
2日目は重太郎新道を前穂高岳に登り、吊り尾根から奥穂高岳へ。心ゆくまでジャンダルムを眺めて白出乗越にある穂高岳山荘まで。

初めて到達した奥穂高岳の山頂で、そこからの景色も初めてのはずだったのですが、不思議と初めてという印象や新鮮な印象はありませんでした。どこかで見たことがあるような、慣れ親しんだ場所のような。。。
インターネットや動画で見ていたからかもしれません。
奥穂高岳からの槍ヶ岳も新鮮味を感じず、ここに戻ってきたかのような親しみを持ちました。
しばらくここで景色を眺めていたい気持ちでしたが、山小屋に到着する時間も重要なので、ほどほどにして穂高岳山荘へ。

ふたたび穂高岳へ
2年後。
同じルートで穂高岳へ向かいました。初めてのとき2泊3日でしたが、この日は日帰り。
前穂高岳への重太郎新道のピストンと決めていました。雲が多く眺望が楽しめるという天候ではありませんでしたが、濃い緑と雲のコントラストがとても綺麗でした。
標高を上げて行くに従って大きく見える奥穂高岳。登りの時間は予定より巻いていたので、前穂高岳だけではなく奥穂高岳へも行こうかと考えるほどでしたが、紀美子平から見上げた姿があまりに高く壁のように感じ諦めました。

前穂高岳から見下ろした涸沢カールは、初めて見る緑の濃い風景で、雲に見え隠れしながらという状況でしたが印象的でした。
また涸沢カールを見下ろしたいと思い、穂高岳へと登ることを思っています。

あのときに諦めた奥穂高岳へ日帰りで。

下山後に立ち寄った温泉

さわんど温泉 梓湖畔の湯

さわんど大橋駐車場の隣にある源泉掛け流しの日帰り温泉。大橋駐車場を利用の際は、駐車券を提示することで割引サービスもある。温泉は内湯と露天風呂のふたつ。梓川の流れを眺めながら温泉に浸かることができる。

駐車場から近い温泉なので、車を停めたままでも汗を流すことができます。
施設は大きくはないのですが、ゆっくりと浸かることができました。露天風呂はぬるめで長湯もしやすかったです。男湯の露天風呂からは国道を走る車が見えたので、もしかしたら車道からも見えるのかもしれません。

お世話になった山小屋

岳沢小屋

上高地から穂高岳へと続く岳沢にある。穂高連峰への中継地点として利用できる山小屋。岳沢小屋を分岐にして前穂高岳へと続く重太郎新道、ジャンダルムへと続く天狗の頭へと進むことができる。上高地を見下ろす眺めの良い場所で、前穂高と奥穂を繋ぐ吊り尾根、西穂の稜線も眺めることができる。テント場は小屋から100mほどガレ場を歩いた場所にある。

穂高岳へ行く場合、この小屋で一泊して翌朝からスタートというプランも練ることができます。景色の良いところなので、早めに入ってノンビリと過ごすのも良いです。
唯一、テントサイトが遠いのが難点で、小屋との往復には難儀します。

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