独鈷山登山
上田市の塩田平を見下ろすように聳える鋭峰。
連続する鋭い峰々と、まるで屏風のように聳える様子は上田市街からも存在感が大きい。
その独鈷に似ているという山容からその山名が付いたと言われ、古くから信仰の山として親しまれ、麓にはお堂や寺院が多い。
狭い山頂部は木々が開け、360度の眺望が楽しめる。
気温が低い場所でありながら積雪量は多くないため、12月でも雪に覆われることは少なく、落ち葉を掻き分けて登ると、八ヶ岳や浅間山など冠雪した様子を眺めることができる。
複数の登山道がある中で、沢沿いに登山道が続き半分ほどから一気に勾配が変わり、山頂へと登り詰める宮沢コースを通る。
独鈷山を南側から登っていくコースで、登山口からは険しい岩稜の稜線を見上げることができる。
独鈷山への行程
上田市街から鹿教湯温泉へと続く国道254号線を松本方面へ。
鹿教湯温泉手前で虚空蔵堂を過ぎ、宮沢地区から登山口へと入っていく。
独鈷山南側の宮沢コース
宮沢地区から細い車道を通り、御屋敷平のヒマワリ畑を過ぎて登っていく。
車道の傍らには「子」の置物があり、ここから山頂まで十二支の置物を目安に標高を上げていく。
駐車場は「丑」の置物がある車道の端に。
車が10台ほどは停められそうな場所で、先には通行禁止のゲートが閉められていた。

獣避けのゲートってちょっと緊張感
ゲートを開け、舗装の道路を上っていく。
左右には深く木々が茂り、3分ほどで舗装路は終わった。
「寅」の置物から登山道へと入っていく。
落ち葉の積もった登山道は狭く、右側の5mほど下には細い沢。
左側には急斜面が高く続いている。
この辺りは松茸が生えるようで、茸山として登山道以外は立ち入り禁止の文字が多く見られた。
「寅」のあった登山口から、「卯」「竜」と十二支の置物を見ながら沢沿いに登山道を登っていく。
勾配は緩やかで歩きやすく、水量が減って凍り付いた沢を渡りながら山頂へと登っていく。

今日は十二支を数えながら登る
「未」を過ぎて5分ほど、沢を渡ると勾配が徐々に急な斜面へと変わってきた。
大きな石も目立つようになり、登山道上には杭が打たれ、足をかける切っ掛けになっている。
急な斜面を九十九折りに登り坂が続き、その幅の狭さは落ち葉で足を滑らせれば沢へと滑り落ちそうなほど。

思っていたより急だった
登山口から35分ほどのところで「酉」に到着した。
右側に見ていた沢を離れ、左側には高く切り立った崖のような尾根が見える。
先に見える登山道は、ますます急斜面で細かく折り返し落ち葉も深い。
落ち葉の滑りやすさと、登山道の狭さに気を配りながら、急斜面を折り返して行く。
徐々に先に見える青空が近く大きく見え、稜線が近いことが感じられ、逆に振り返ると高さのある斜面が下へと伸びていた。
「戌」まで登るとようやく急斜面は緩くなり、登山道も広く歩きやすく変わった。
落ち葉の深さは変わらず、それでも上に見える青空が近く稜線の近さが感じられる。
沢山湖からの登山道との合流を過ぎて稜線へ。
稜線にあった標識で、それまで山頂のように見えていた左側の切り立った峰は実は違っていて、反対側の高い峰が山頂だということが分かった。

どこまで急斜面が続くのかと思った
稜線からもしばらく続くと思われた急登も、右側に山頂があると思うととても近く感じ、僅かな時間で山頂へと到着できた。
独鈷山山頂
独鈷山の山頂は狭く東西に長細い。
木々が少なく景色が開け、東側には四阿山や浅間山、北側には飯縄山や高妻山。
北側から西へと視線を移すと、雪に覆われた北アルプスを過ぎて美ヶ原から蓼科山、八ヶ岳と稜線が青空に映えて美しい。
浅間山の南側には荒船山の山頂台地や、南佐久の峰々が見渡せた。
とても気持ちの良い山頂部で、しばらく景色を堪能したい気持ちではあったものの、山頂下から動物の鳴き声が大きく聞こえたため、早々に下山をすることにした。

耳を澄ますといろいろな音が聞こえる
下山
山頂からはピストンで宮沢登山口へ。
登るのに苦労をした急登は下りでも同様で、特に見下ろしながらの下山は高度感もあり、狭さが際立っているようだった。
登りよりも下りで滑落に気をつけたい登山道でもあった。
「酉」の置物を過ぎるまで響いていた鳴き声は、山頂から離れていくほどに徐々に遠くなり、沢沿いに下りていくころには遠く背中の方で聞こえていた。

もうね。ダッシュで下りたから。