登山口の毛無峠へ
長野県側からは須坂東ICから高山村へと向かい、群馬県道・長野県道112号大前須坂線へ。
群馬県側からは万座温泉方面から大前須坂線へ。
毛無峠までは狭く荒れたアスファルトの道路を車で向かうことができ、車道の行き止まりに車が停められるスペースがある。
毛無山はビューポイントとしても知られる場所で、天候が良い日なら必ず誰かが眺望を楽しんでいると印象がある。
御飯岳に背を向けるようにして、鞍部から西側には破風岳、土鍋山、南側に浅間山が大きく見え、長野市街への視界を遮る山肌の緑も美しい。
硫黄採掘の名残で荒れてしまった山肌や、そこに残された鉄塔は、見慣れない景色で珍しく、山深い景色と合わせて非日常的な雰囲気が感じられる。
そういえば前はココまで来てお腹壊して帰った・・・
アスファルトの割れた車道の行き止まりに車を停め、すぐ横にある御飯岳登山口から登山を開始する。
ロープが張られているため入って良いのか躊躇するが、矢印が登山口と示していることもあり、踏み跡も見られることから、様子を伺いながらまずは間近に見える毛無山へ。
毛無山は毛無峠から10分ほどで登ることのできる小さなピーク。
登山口からの高低差は100mほどで、峠側には黒く錆びた鉄塔が建ち並ぶ。
赤い土に白い石が脆く散らばり、グリップの効かない歩きづらさはあるものの、左右に広がる景色が物珍しく、楽しみながら登ることができる。
鉄塔を過ぎると登山道らしき窪みは右の斜面へと折れ、ガレた土から笹原の中を登る登山道へと変わった。
毛無峠を振り返る
毛無峠から10分ほどで毛無山へと登り、振り返ると標高を上げた分だけ破風岳への眺めが変わり、また少し変わった雰囲気が楽しめた。
毛無山から見る破風岳と、その奥へと続く土鍋山とその稜線は魅力的で、毛無峠から御飯岳という行程ももったいなく、できれば三山を渡って歩きたいと思える。
山頂部にはケルンが積まれ、そこに鉄棒が倒れ立て掛けられていた。
東側の景色が開けてみるため、本白根山の赤く丸味を帯びた峰と、雲に霞んだ中に榛名山の尖った峰々を見ることができた。
ここでも十分に満足度は高い。
毛無山の山頂は緩やかな傾斜地で、笹とハイマツが茂った状態。
規模は小さく狭いものの、台地の奥に山並みが見えるところなどは北アルプスの奥部で見られそうな雰囲気があり、この手軽さでこの眺めであれば十分な満足感が得られた。
山頂部から御飯岳方面を望むと、笹が茂った鞍部へと下り、登り返して木々の中へと登山道が続いていくのが見える。
高低差は少ないが、傾斜のきつい下りと登り返しで、笹原の気持ち良さとは反対に太股には負担が大きい。
キレイに刈り払われて歩きやすい登山道と、その左右に広がる膝丈ほどの笹を見渡し楽しみながら、樹林帯へ登り返し、ときどき振り返っては毛無峠の眺望を楽しんだ。
「笹=熊」という想像もしてしまうのだけど。。。
樹林帯に入ると周囲の眺望はほとんど無く、近くに生えた笹と木々に囲まれて、行く先に登るであろう峰が見えるだけ。
序盤の登山道はなだらかで、下りも登り返しもなく、すぐ山頂に着くのではないかと思えるほど。
目の前にも高い峰が見え、距離的にそれが山頂だとも思えてくる。
平坦にも感じる緩斜面の登りを過ぎると、段差の高くなり、それまでの刈り払われて広々としたところから、木々の間を縫うような狭さに変わった。
笹原の歩きやすさから足元も雰囲気も一変し、これはこれでおもしろいと思いながら、枝の間から見える青空から山頂も近いのではと感じられた。
狭い登りは5分と掛からなかったほど。
登り切ったと思ったところから、高い段差を下り、再び緩斜面が続く。
この時点で山頂が近いと思っていたのは誤解で、さらに先に峰が続いているのが見えた。
笹に囲まれた緩斜面を行けばその峰に近づく安心感のある刈り払い具合で、ときどき木を縫うように避けながら歩いて行く。
眺望は無いし意外と長いな。。。
一気に高さを稼ぐハシゴのような段差の急斜面があり、落ち着いた緩やかさから心拍数を高めて駆け上がる。
この急斜面を登れば見えていた峰は近く、そこが山頂部だろうという想定をし、登り切ってから山頂標を見落とすことのないように注意深く周りを見渡した。
平坦で笹に囲まれた登山道。
ここが山頂と書かれていても疑わないと思える。
山頂の標が小さく寂れたものだとは知っていたので、急斜面を登ってからの緩斜面が下りに差し掛かっていくのを、すでに山頂部は過ぎたのかもしれないと不安になるほどだった。
御飯岳の山頂
緩やかな斜面を右へ左へと折れながら、登り坂は下りに変わっていく。
山頂はどこかと思いながら、徐々に木々の先が見えてくると、この緩斜面から下って登り返した先に、さらに高い峰があるのが見えた。
そういえば御飯岳を見上げたときには3つほどの峰が続き、登山道上に登り返しの必要な鞍部があることが見えていた。
20mほどの高さを下り、緩い傾斜を過ぎてまた一気に登る。
すると平坦な登り坂へと変わる、登山道のこれまでと似たような雰囲気のアップダウン。
その緩斜面の中で、もっとも高いであろうと思われた丸く平らな場所を通り過ぎ、刈り払われた中をさらに進むと、突然登山道が左へと折れ、山頂を示す鉄棒が建てられていた。
御飯岳と書かれた鉄板は錆びて文字を読むのが難しく、笹の刈り払いもここまでで終わっていた。
周囲の眺望はほとんど得られず、木々の間から僅かに横手山が見えるのと、登山口の毛無峠方面が見える程度だった。
毛無峠からは49分。
あ。着いた。
標高差や横の移動が少ない行程ではあったものの、笹に囲まれ大型野生獣の生息域というイメージと、眺望の無さが不安を煽る登山道だった。
実際の時間以上に体感時間が長く感じられたのもそういった気持ちが大きかった。
毛無峠への下山
御飯岳山頂からは登ってきたルートをピストンで戻る。
アップダウンは繰り返して標高を下げていくが、高低差は大きくないため、全体的になだらかな歩きやすい印象が残る。
樹林帯を過ぎ、笹原へと戻ってくると雲の多い天候に変わっており、また少し違った雰囲気の毛無峠を見ることができた。
破風岳の山肌に繁る笹と、街から切り離されたような眺めが美しい行程だった。
やはりこの山は笹原が一番イイ