美ヶ原朝景

2034m

朝陽を見たし帰ろうかと

山本小屋 2021年1月

朝の美ヶ原 (1月)|日の出スポット美しの塔で朝陽を迎える
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長野県のほぼ中心に位置する美ヶ原。
日本百名山のひとつに数えられる2000m級の山でありながら、その山頂と同等の高さまで車で向かうことができ、しかも台地のような特徴的で平坦な山頂部を持つ。
そのため、駐車場から最高地点までほとんど高さを感じることなく歩くことができる。
標高が高いことから木々も疎らなために周囲の眺めが良く、間近に見える八ヶ岳、その肩に隠れるように見える富士山や、アルプスの山々、松本の街などへの眺望が楽しめる。

冬季は長和町から山本小屋へと通じる県道178号線のみが通行可能になっている。
除雪はされているものの日影は凍り付き、標高が高くなるにつれて乾いた雪が滑りやすく通行には注意がいる。

特長的な地形から迎える朝陽を見たいと何年か思っていた。
美ヶ原で朝陽を見るならば、朝の赤さが雪に写される季節が良いと。
日の出は6時50分ごろ。

歩いたコース

登り
山本小屋
下り
山本小屋
最高標高
2034m
登山口標高
1943m
距離
5.88km
累積標高
91m
90m
平均斜度
1.70度
時季
2021年1月
天気
晴れ
日程
日帰り
歩行ペース
登り1:02/下り0:49/合計1:51
平均の歩行速度
3.31km/h

この日のペース

  1. 山本小屋
  2. 王ヶ頭(1:02)
  3. 山本小屋(1:51)

Amazonや書店で買える地図

山と高原地図 八ヶ岳 蓼科・美ヶ原・霧ヶ峰
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美ヶ原は山本小屋から歩くと、とても手軽で歩きやすく、登山という雰囲気ではありませんがこれまで何度も訪れています。
日中も良いですし、ときにはナイトハイクをしたこともありました。
昼夜の美ヶ原を見て、いつしか朝の景色を見たいと思いました。

2000m近い標高から歩きはじめて、15分ほどで朝陽が見られるスポットへ。
冬の美ヶ原へ車で向かうには注意が必要ですが、歩くのは清々しく、防寒対策をしっかりして最高の景色が見られました。
凍えるほどの気温の低さと、痛みを感じるほどの風の強さの中でしたが、冬の美ヶ原を満喫できたと思います。

使った登山道具

持って行った水の量

朝の美ヶ原へ

美ヶ原は車で2000m近い標高まで上ることができ、ほとんど高さを感じることもなく、最高地点まで雪上を楽しむことができる。
日本百名山の1座に数えられるばかりか、松本市街を見下ろし、間近に見える八ヶ岳や北アルプスへの眺望が良く、その手軽さも美ヶ原が人気のある山の理由と言える。

夏季は松本側からの王ヶ鼻やビーナスラインを通ってのアクセスができるものの、積雪のある冬季は長和町から県道を上るほかに車道は無く、格段にアクセスが悪くなる。
それでも夏と変わらない標高まで上ることができるのはありがたく、おかげで高地からの朝陽を見ることができる。

1月下旬、日の出の予定時刻は6時50分ごろ。
約2000mの山本小屋ふるさと館に着いて身支度を整えている時間帯はまだ月が明るく光っていた。
真っ暗な中で車のトランクを開けて荷物を詰め込むのは、ザックの中へ入れ忘れる物が多くありそうで、出発してしばらく不安が消えない。
ふるさと館の横を通って雪の上を歩き始めても、何度か振り返って落とし物が無いかと木に掛けてしまう。
暗闇の中で見える物も無いだろうと分かってはいるのだけれど。

美ヶ原登山

不安

雪の上は月の光でヘッドライトが無くても歩けるくらいに明るい。
乾いた雪面を踏むと、雪が軋む音が大きく聞こえる。
静けさの中で聞こえるのは風が耳元を切る音と足音だけ。
月の明るさで見えながらも、聞こえる音が少ないことが不思議な雰囲気に感じられた。

美ヶ原登山

景色は見えるのに限られた音しか聞こえない不思議

5分ほど歩いて山本小屋の宿泊棟の前に差し掛かった。
建物の前にできた雪の斜面を登って雪原の中の歩道へと入っていく。
美ヶ原らしい広く平坦な景色が広がる。
丘のような膨らみは丸みを帯びて、ここは山ではなく海か砂漠かのように思えた。

美しの塔で朝陽を見る

ふるさと館からは15分ほど。
美しの塔に着いた。
王ヶ頭を東側に見る撮影スポットで、美しの塔という特徴的なモニュメントが建っている。

平坦で視界を遮る物もなく、八ヶ岳への眺望があり、王ヶ頭を見ることができる。
歩き始めた序盤で朝陽を見るのなら美しの塔が良いだろうと思っていた。

出発した時間帯には暗く朝の気配も感じられなかったのが、美しの塔の辺りでは空が明るくなり始め、山の稜線に沿ってオレンジ色が強く見えていた。

美しの塔のまわりでしばらく過ごし、朝陽が昇っていく時間を見ていた。

美ヶ原登山

何年か前から朝陽を見に来たかった

だんだんと赤くなっていく空と雪面。
朝陽の赤さを受けて、東側の空は淡い色合いのグラデーションになっている。
月はまだ高い位置にあり、明るさというよりも白く見えていた。

美ヶ原登山

同じような写真ばかり撮る

美ヶ原登山

似たような写真ばかりを量産した

王ヶ頭へ向かう

朝陽が昇り、王ヶ頭ホテルとの間を雪上車が走り始める時間になった。
見たいものを見て満足感ばかりで満たされた気持ちになりながら、いちおう最も高いところへ行かなければならないのだろうという、なかば義務的な思いもあり、王ヶ頭へ向かうことにした。

美ヶ原登山

いちおう行かないといけない気がする

真っ白な雪と青い空の美ヶ原は、いつまでも見ていても飽きないような景色。
ただ平坦な道は歩くには退屈で、景色が良いことだけが良い。

美ヶ原登山

散歩気分でキョロキョロして歩く感じ

美しの塔から5分ほど南へ歩いて塩くれ場を過ぎる。
塩くれ場は松本側の三城牧場へと通じる百曲がりの分岐点にあたる。
王ヶ頭へは大きくカーブして東へと向かっていく。

暗かった空はすっかりと明るく青くなり、陽が雪に反射して眩しい。
だんだんと王ヶ頭ホテルが近くなっていくと、広かった美ヶ原の東端にまで届き、その先の切れ落ちた向こうには鉢伏山が見えてきた。

美ヶ原登山

冬の鉢伏山も気になる山のひとつ

鉢伏山は美ヶ原のように広大な山頂を持つ。
線を引いたように山頂部に樹木が無く、周囲の眺望が良い山としても人気がある。
その向こうには中央アルプスが見えていた。
振り返ると雪面はテカテカに輝いているようで眩しかった。

鉢伏山の北側に見える松本市街を見下ろしながら王ヶ頭へと歩いていく。
ホテルの手前の登りが、このコースで最もキツい斜面。
歩いて5分ほどの登りで、平坦な行程の中では辛い。

美ヶ原登山

登りは嫌だ

美しの塔からは40分ほど、王ヶ頭ホテルの前まで歩いてきた。
大きな電波塔を横に見ながら王ヶ頭の標はホテルの横を歩く。
見晴らしが良くなり、王ヶ頭と刻まれた標の前に出た。

美ヶ原登山

やっと着いた

山頂

広い美ヶ原の中で最も標高の高い王ヶ頭。
ふるさと館から1時間2分ほどでの到着だった。 800mほど先にある王ヶ鼻というピークが見える。
北アルプスの北から南まで見渡せそうなほどの眺望で、南側には富士山や南アルプス。
三城牧場を挟んで鉢伏山がよく見えた。

美ヶ原登山

もう序盤で燃え尽きてるから景色が目に入らない

しばらく王ヶ頭からの眺めを楽しみ、ベンチのある王ヶ頭ホテルへと戻る。
明け方に強く風が吹いていたのも、陽が高くなるとすっかりと止んでいた。
陽の光も温かく、凍えていたのが嘘のようだった。

美ヶ原登山

朝陽を見ているときは寒かった

ふるさと館へ戻る

王ヶ頭を後にして駐車場のあるふるさと館へ。
朝陽を見てから王ヶ頭まで、見るべきものは見たような気持ちで、帰路はサクサクと進む。
陽が高くなるほどに空が霞むようにも見えて、青空と輝くような雪の景色も何だか見慣れたものに思えた。

美ヶ原登山

さっさと帰る

下山後に立ち寄った温泉

和田宿温泉 ふれあいの湯

和田宿の南側にある湯遊パーク。
その中に作られた温泉施設。
温泉入口にある高い吹き抜けが特徴的で国道からも目立つ。
泉質はカルシウム硫酸塩温泉・ナトリウム硫酸塩温泉で、「傷の湯」といわれていたという。

内湯と露天風呂が楽しめる。

美ヶ原から和田峠へと下りた最寄りの温泉施設です。
運動公園の中に建てられているので、公園も目につきますが建物も目立ち、温泉があることが分かりやすい印象でした。
八ヶ岳や美ヶ原の周辺には温泉施設も多いので、ここを選択肢にすることは少ないかもしれませんが、蓼科から大門峠を下るとき、冬季の美ヶ原へ訪れたときなどは便利な場所にあります。

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