万仏山

1203m

2018年4月14日

  1. 登山百景トップ
  2. 上信越の山
  3. 万仏山登山
登り
万仏岩お堂
下り
行者尾根
最高標高
1203m
登山口標高
727m
距離
2.50km
累積標高
484m
485m
平均斜度
19.9度
時季
2018年4月
天気
曇り
日程
日帰り
水の量
水2l 水900ml
歩いた時間
登り1:12/下り1:13/合計2:25
平均歩速
1.11km/h

この日のペース

  1. 万仏山登山口
  2. 万仏岩(0:29)
  3. 万仏山 山頂(1:12)
  4. 万仏山 南峰(1:19)
  5. 万仏山登山口(2:15)

万仏山を知ったのは「阿弥陀堂だより」が撮影されたことからでした。
残っている映画のセットを見に行ったところで、周辺にある石仏の数に驚き、それが万仏山の中へ続いていると知り、地元では親しまれている山ということを知りました。
決して有名な山ではないと思いますが、毎年山開きが行われている点や、テープなどのマーキングも比較的新しく残っていることから、里山として手入れがされているのだと思います。

数年前に万仏岩や蟻の戸渡りまで歩いていたので、山の険しさは知っていたのですが、おもいがけずたくさんのイワウチワが見られ、ちょっと得した気分でした。
登山口から山頂まで樹林帯に囲まれているため、眺望が良いとはいえないですが、低山とは思えないほどの歩き応えが感じられます。

信仰の里山

麓の集落からの石仏が立ち並び、万仏岩という巨岩と、連続する細尾根が特徴的な万仏山。
妙高山や斑尾山などの新潟長野の県境に位置する山々を見通す棚田は、長閑な田園風景としても美しく、近くでは春になると菜の花が多く咲き乱れる。
決して名の知れた山ではないものの、山岳信仰を思わせる多くの仏像と険しい登山道は、地元では知られており、毎年5月8日には山開きも行われている。

複数の登山道がある万仏山でも、万仏岩を通るルートは代表的なもので、逆に言えば他のルートは不明瞭であったりあまり人の歩かないルートになっている。
このルートでは個性的な石仏をいくつも見ることができ、万仏岩からは登山道の様相が変わる。
里山で厚い樹林帯に囲まれた中とはいえ細尾根は高度感もあり、その高低差や距離からは想像できない難易度もこの登山道の魅力。

万仏山周辺は雪が多く降り積もる地域で、暖かな日が続いた中でも斜面には雪が残る。
固く締まったザラメ状の雪で、残雪の下が空洞化していることもあり場所によっては股下まで踏み抜く。
雲が多く時間が経つほどに降水確率が上がる中、強風も懸念される天候で、樹林帯に囲まれているおかげで影響はほとんど受けなかった。

天気の良くない日は眺望の無い山が選択肢

阿弥陀堂から万仏山へ登る

上信越自動車道を豊田飯山ICから野沢温泉方面へと進む。
国道117から県道419へと入り、雪ん子そばの工場を横目に瑞穂地区福島へ。
傾斜地の集落を抜け、狭い農道を通って阿弥陀堂まで来ると、5台ほどの車が停められるスペースがある。
瑞穂地区福島にある万仏堂は、20年ほど前に映画「阿弥陀堂だより」で使われたセットが残る。
棚田に蕎麦が咲く長閑なところで、千曲川越しに斑尾山や妙高山を見ることができる。

地区の最上部に観光用の駐車場があり、そこから10分ほど歩いて阿弥陀堂へと向かうことができるが、阿弥陀堂の近くにも5台ほどが駐車できるスペースがあり、今回はそこに車を停める。
阿弥陀堂から登山口へ林道が続いているため、雪などの状況が良ければさらに車を乗り入れることはできるが、積雪が残っていることや、雪が無くても擦れ違いがしづらいほどの幅員の狭さ、土砂などを思うと阿弥陀堂から歩いていくのが安心感がある。

万仏山登山

山開きするまでは状態は悪い物だっていう前提。

登山口へと向かう林道から思っていたとおりの積雪で、ザラメ状の固い雪が20〜30センチほど残っている。
流出した土砂や、冬の間に落ちた枝葉も多く、乗用車が乗り入れられる状況では無かった。

登山口から万仏岩

万仏山登山

ココに来たのは何度目か・・・

駐車場から20分ほどかけて登山口に到着した。
万佛山入口と書かれた小さな立て札があるのみで、登山口とも分かりづらい。
登山口から小川を渡り、石仏に沿って杉林を登っていく。

積雪でハッキリとした踏み跡がなくテープがところどころにチラりと見える中、等間隔で規則的に植わっている杉はどこでも登山道のようにも見え、気が付くと登山道の石仏から離れてしまっているようなこともあった。
段差の上に積もったままの雪は、空洞化しているところも多く、何気なく置いた足が膝や股下まで踏み抜くことも多く、足の置き場を疑いながらの登りが続く。

万仏山登山

たくさんの石仏を見に来た

登山口から20分ほど登ったところで、杉林を過ぎ斜面が急傾斜に変わった。
落ち葉がいっぱいで湿った傾斜は滑りやすく、階段のように段差のあるところに足を置いていく。

万仏岩には登山口から30分ほどで到着した。
大きな岩の下にお堂が建てられた万仏岩。
お堂の横には大日如来座像と弘法太師座像が祀られ、立ち並んでいた石仏の最終三十三番が置かれている。
万仏岩の左側から登山道が続き、万仏岩の上部にある稜線へと急登が続いている。

やわらかな土の急斜面で、山開き後にはロープが張られるほどの登り坂。
草や木の根元を手がかりに急傾斜を登り、上部まで登ったところで鎖に手を掛けることができた。

万仏山登山

知っている場所だけどロープが無いのはひと苦労。

蟻の戸渡りから屏風岩

万仏岩の急斜面を登ると切り立った尾根上に立つ。
狭い板状の岩尾根で、登った向こう側は数十メートルの崖になっている。
木が茂っているので高度感はそう感じられないが、確かに高さはあり、さらに進む方向を見ると、まるで崖のような高さを折り返しながら登山道が続いている。

擦れ違うこともできないような狭さで、草や木の生えたやわらかな土の登山道。
右側の崖を見下ろしながら、山側に左手を突いて段差を折り返して登っていく。

万仏山登山

土の狭い道って崩れそうな気がして怖い

登り切った上も岩尾根で、相変わらずの高さと狭さが続く。
木々の隙間からは岩峰が立ち上がっているのが見え、山頂の稜線が近くなった様子も見えた。
ただただ岩尾根が続く登山道で、当初は焦っていた高度感も徐々に麻痺していく。
「蟻の戸渡り」「窓岩」と名付けられた地点も、岩尾根が続いていく中ではどこなのかも分からないまま、周囲の木が開けた場所に出た。
振り返ると福島の集落は遠く下に見える。
妙高山への眺めも良い。

まだ上へと続く落ち葉の上を歩くと、山頂直下に出たようで、山の斜面に突き刺さるように岩尾根が狭く続いていた。
落ち葉の積もった岩尾根は脆さがあるようにも見え、木の根をよけながら端に寄らないようにして進んだ。

尾根の右側には、いくつもの細かな板が張りついたような巨岩壁があり、これが「屏風岩」と名付けられているようだった。

ようやく岩尾根が終わり、山頂稜線を間近に見ながら急登に取り付く。
ロープが張られた岩の急登で、岩と木の根の段差を踏み分けながら登っていく。

万仏山の山頂

岩の急登を登ると、山頂はすぐそこだった。
登山口から1時間12分。
大きなブナの木にテープが巻き付けられた山頂に到着した。

木々に囲まれている上に、周囲をさらに標高の高い山で囲まれているので、ほとんど眺望は無く、東側に妙高山が見える程度。
水ヶ沢山や北峰へと続く登山道は足を踏み入れた跡も無く、山があるという様子だけが山頂から見ていた。

万仏山登山

この眺めの悪さは知ってはいたけれど。

山頂から稜線を戻って分岐を過ぎ、さらに5分ほど進むと万仏山の南峰に到着する。
南峰の先端部には山伏像が書かれた石碑が建ててあり、展望台のように周囲の眺めが良い。

万仏山の南側の眺望が良く、高社山や黒姫山などの北信の山々を見ることができる。
すぐ真下には木島平村の馬曲地区があり、そこにある林道の近さにも驚く。
稜線を繋ぐ馬曲山やその先にある犬飼城趾は木島平のどこからでも見られるような山のひとつで、登山道が不明瞭なそちら側も魅力的に見える。

万仏山登山

里が近いのか、それとも里が高いのか。。

下山

万仏山からの下山は登りと同じ岩尾根を戻る。
登りでは視界に入らなかった尾根下の様子が見え、登り以上に緊張感を持って下りていく。
蟻の戸渡りまで下りたところで、岩の真下が空洞化した「窓岩」に立ち寄る。
窓岩はトンネルのようにアーチ状の岩になっており、その上が登山道になっている。
特に看板があるわけでもないため気付きにくい場所で、窓岩を覗いたからといって何かが見えるわけでもなかった。

行者尾根を下りる

万仏岩の上部まで下りたところで、ルートを行者尾根を下山路として選んだ。
万仏岩へ下りる順当なルートではなく、行者尾根は岩尾根を延々と歩き続ける。
明らかに人は少ないだろうと思えるルートで、登山道上にもたくさんの花が咲いている。

万仏山登山

ロープの無い万仏岩を下りるよりはと思ったけれど・・・。

各所の狭さと高さに驚きながら、尾根の登り降りを繰り返して標高を下げていく。
たくさんのイワウチワを楽しみながら、ようやく行者尾根の終点へ。

尾根から登山道へと戻るには、ロープが架けられた崩れやすい急勾配を下りていく。
たくさんの落ち葉は滑りやすく、手が掛けられるようなところも少ない。
尾根を下りてから見上げると、行者尾根が唐突に始まっているようで、まるで山の斜面に板が建てられたように見えた。

石仏が並ぶ登山道に戻り、雪を踏みしめながら登山道へと戻る。
行者尾根は下りよりも登りに使いたい登山道で、石仏は見られない中でも万仏山らしさを楽しめそうな雰囲気だった。

感想をお聞かせください

こちらのフォームからお送り頂けます。

メッセージは文字まで、送信は一日回まで
現在文字数 0文字

下山後に立ち寄った温泉

戸狩温泉 暁の湯

戸狩温泉スキー場から近い場所に立つ日帰り温泉施設。
ゲレンデから徒歩1分ほどの立地で夏季のみの営業。
大きな窓のある内湯と、露天風呂が楽しめ、泉質は透き通った黄色の弱アルカリ性。
疲労回復や関節痛に効能があるとされている。

飯山市周辺の温泉は、市街地からは最も近いのが戸狩温泉だと思います。
冬はスキー客で賑わうのだと思いますが、訪れた日は人数も少なくとても静かでした。
若干、閑散とした雰囲気もありましたが、浴室内は清潔感があり、温かな温泉で汗を流すことができました。
特に香りもなく、あっさりとしたお湯のようで、透き通った褐色が珍しく感じました。

同じ時季に登った山