2017年に計画したコースで、上高地から山頂を経由して新穂高へ下りました。
日帰りの行程で奥穂高岳を楽しむのなら、山頂を跨ぐコースを取ろうと思っていました。
夏のとても良い天気で、人も多く賑やかだったのですが、北アルプスを堪能できました。
2017年から多くなった里山歩きは、2018年も継続しました。
街から近い山や、短時間で登ることのできる山、そのわりには満足感の高い山も多かったです。
例年に比べて、山に登る回数は多くありませんでしたが、充実感がありました。
いくつかある2018年の登山の中で、特に印象に残った物をピックアップしました。
10月は1年を通じて最も華やかな風景が楽しめる季節だと思います。
標高の高い山はなかなか登山に向かいづらくなります。
そんな中で、10月は長野県北部にある近隣の山へ行ってきました。
乙妻山は長野県と新潟県の境にある戸隠連峰の最北端に位置する山です。
百名山の高妻山のさらに北方にあり、とても山深いので、戸隠連峰への登山を楽しむ人は多くても、乙妻山まで来る人は限られます。
乙妻山への登山道の特長は、尾根づたいの峰々に祠が祀られているところです。
登山口は戸隠キャンプ場、大洞沢沿いに尾根へと登り、一不動から二釈迦と祠をカウントアップしながら山頂を目指します。
有名な戸隠山は戸隠神社奥社の背後にあり、天手力雄命が神社に祀られていることからも神道という雰囲気があるのですが、一不動からはその昔は仏像が祀られていたといい、戸隠連峰の全体を通して山岳信仰の雰囲気が感じられます。
もともと仏教・神道だと区別していたものではないと思っているのですが、ひとつひとつの山を通じて、信仰の様子が見られるのも日帰り登山ができる山の中では珍しいのではないかと思います。
乙妻山への登山道で祀られる仏は「十三仏」と呼ばれるもので、乙妻山の他にも近いところでは飯縄山、高社山の登山道でも見られます。
以前は長野県の北部で、この十三仏の信仰が篤かったという話しも目にしました。
https://tozan100kei.com/route/takatsumayama-ototsumayama.php
紅葉で賑わう志賀高原へ、大沼池と志賀山を楽しみに歩きました。
平坦で整備された道が続くので、ちょっとした散歩気分で歩き、途中から登山道のような雰囲気を楽しみ、志賀高原の景色を堪能しました。
入口は大沼池へと向かう清水口。
志賀山へは木戸池から入るルートもあるのですが、今回は発哺ブナ平から大沼池を経由して行くことにしました。
清水口は、木戸池に比べると人数が少なく、とはいえ志賀高原なので基本的に人は多いのですが、静かな雰囲気で歩くことができます。
帰る途中に知ったのですが、それは木戸池付近の方が紅葉が華やかなので、人が少ないということだったようです。
清水口から歩きやすい林道を歩き、透明度が高く青い水面の大沼池を眺めます。
対岸に裏志賀山が見え、周囲には黄色くなった紅葉が広がります。
大沼池はベンチもあり、家族連れやココを目的地にしても十分に楽しめます。
清水口から4キロほどあるので、歩き甲斐もそれなりに。
志賀山は頻繁に山に登るようになった頃に、一度登ったことのある山です。
眺望も無く、山としては楽しめる場所では無いと思いますが、そこへ至るルートは、大沼池をはじめ四十八池、裏志賀山など見どころがあります。
https://tozan100kei.com/route/shigayama-onumaike2.php
10月3つめの登山も戸隠連峰でした。
行きたいと思っていた山ではすが、こうまとめて行くことになるとも思わず、ほんの10日ほど前には近くに見える高妻山を歩いたのだなと思いました。
標高が下がったとはいえ紅葉の盛りで、登山道は華やかで美しく、長野県屈指の難ルートの楠川林道横から戸隠連峰の稜線を目指しました。
西岳P1と呼ばれる弁慶岳へ向かう登りでは、両側が切れ落ちた崖のような細い登山道を渡り、岩壁のような鎖場が連続し、知ってはいたけれど・・・と、今さら戻ることもできない登山道に覚悟を決めて進みました。
弁慶岳からアップダウンを繰り返す稜線のルートは、戸隠連峰らしい険しい岩壁を見ながら、戸隠山を目指しました。
さすがは信仰の山、修験者の山という雰囲気を十分すぎるほど堪能できるルートだと思います。
ようやく戸隠山の八方睨みへ着いたときは、まだ道半ばにも関わらずホッとした気持ちに溢れました。
戸隠連峰を渡り歩くので、登山口と下山口が離れていたため、久しぶりに20キロ近い行程になりました。
https://tozan100kei.com/route/shigayama-onumaike2.php
9月を終えて、ふと気が付いたのは「山頂に登って無くない?」ということ。
2018年の9月は登山に行きながらも、最高地点に立つことのなかった珍しい月でした。
とはいえ、登山時間そのものが短く、行ったけれど行っていないような気分のまま月を締めたといっても過言ではありません。
それほどに天候に恵まれず、スケジュールの合わない月でした。
https://tozan100kei.com/route/tengudake-inagoyu2.php
天狗岳へ登るのは3度目です。
最初は渋ノ湯から、2度目は稲子湯から。
いずれも冬季で、無雪期に登るのは初めてです。
珍しく同行者がいて、1泊2日の予定だけが先に決まっていたため、その中で行ける行程を考え、当初は稲子湯から本沢温泉を経由して硫黄岳、オーレン小屋に泊まって箕冠山を越えて根石岳と天狗岳、時間があれば中山峠からニュウを通って稲子湯へ戻ろうという周回ルートを計画していました。
みどり池のしらびそ小屋をはじめ、本沢温泉や夏沢峠の山びこ荘、お風呂には入れるオーレン小屋、黒百合平の黒百合ヒュッテと、豊富な山小屋を巡る予定でした。
ところが当日から2日目にかけてあいにくの天候。
この行程を思いついたとき、もともとは一人で周回する予定でした。
スケジュールが合わずになかなか実行することもできなかったため、せっかくならば今回の1泊2日で、同行者もいることだし時間を掛けて歩こうと思っていたのですが・・・
急きょ、硫黄岳をやめて天狗岳へ直接向かい、オーレン小屋での宿泊を黒百合ヒュッテへ変更しました。
ひとりならば多少急いででも1日で全行程を回れたという思いと、仲間と楽しめる登山なのでじっくりと歩いて良いのではないかという両方の思いを抱え、本沢温泉からは白砂新道を登ります。
本来ならば夏沢峠へ登って硫黄岳へと行っていたと思いを巡らせながら。
根石岳との鞍部にあたる稜線に出ると、すぐ目の前には天狗岳のふたつの峰が見えました。
行程は短くなったけれど、これはこれで良かったと思い、雲が多いながらも青空が広がっている様子に満足しました。
天狗岳から南八ヶ岳を眺めることを楽しみに東天狗岳へ登り、ザックを下ろすことも無く景色を見て、西天狗へと向かおうとしました。
そこで同行する仲間から「行くの?」と言われ、冗談でしょう?と思いながらも「行きます」と答えたところ、「無理です」との返事。
すぐそこで近いからと無理強いをすることもしたくないので、その言葉に従って天狗岳を下りることに。
ただ僕としては東と西へ登ってこその天狗岳登山だと思っていたので、口惜しいことこの上なく、気持ちを殺して黒百合平へと下りました。
西天狗へ行かなかったので、時間が余り、黒百合ヒュッテではノンビリと過ごすことができました。
もともと1泊2日だったこと、さらには行程を短くしたことで、時間のゆとりはかなりできました。
だからこそ山小屋での時間を満喫するつもりで納得していたのですが、同行する仲間の「これなら下りても良かった」という言葉に絶句したのは言うまでもありません。
今回のルートの見どころは、山小屋での時間、北八ヶ岳と南八ヶ岳の境目を歩くことでの植生を楽しむ、南八ヶ岳北端からと北八ヶ岳南端からの景色を楽しむという3点でした。
が・・・
https://tozan100kei.com/route/tengudake-inagoyu2.php
https://tozan100kei.com/route/tokkosan-amekubi.php
独鈷山は上田市の塩田平を代表する山のひとつです。
上田市街の風景を形成する山ともいえます。
街の西側に聳える姿は荒々しく特徴的で印象にも残るのですが、あまり知名度は高くないようにも見受けられます。
おそらくは標高がそう高い山ではないことと、街から近すぎ存在が身近すぎることが要因なのではないかと思うのですが。
この山に登ったのは2017年の年末が初めてですが、以来5度ほど訪れました。
独鈷山を知るほどに様々なルートがあることが分かり、それぞれに特長があり、また難易度も幅広いことを知りました。
ひとつずつ独鈷山の登山道を歩き、自分の力量にあった登山道はどこだろうかと探し歩く度に、山頂を囲む岩峰にも興味が出て、そして訪れたのが雨首です。
なぜそう呼ばれているのかも、登ることで知ることができるのかもしれないと思っていたのですが、それは甘かったようです。
ただものすごく急な登り坂が続くのは事前の情報通りで、竜ノ峰とも呼ばれる由来を知ることができ、また期待通りの眺望でした。
一時間ほどで登ることができるので、気軽と言えば気軽ですが、それとは対照的な満足度の高さ、達成感の大きさは印象的でした。
次回こそは雨首から鉄城山を通って独鈷山山頂へとも思うのですが、そちらは比較できないほどの難路になりそうなので、躊躇しているところです。
雨首を知ったからこそ鉄城山の難しさを知ることができ、また独鈷山の魅力のひとつも感じることができたと思います。
https://tozan100kei.com/route/tokkosan-amekubi.php
ただ9月は山頂らしい山頂に登ることが無かったという、その思いが残りました。
夏はどの山へ行こうか決められないくらいですが、その割に登山日数が少なく、その中で時間の掛かる山へ登ることが例年の傾向です。
2017年は笠ヶ岳、2016年は山休しましたが、2015年は前穂高岳と、そこそこ気合いを入れて登山口へ向かっていました。
いろいろと事情があるので、その点は細かく振り返りもしないのですが、、、
2018年8月は足も気持ちも山から離れ、病んだ気持ちで過ごす日が続いていました。
ただ、せっかく山へ行く機会ができたので、今年もやはり少し気合いの入る山へ行こうと思いました。
https://tozan100kei.com/route/ariakeyama-uratozando.php
仕事や家庭事情などがあり、思ったように山へ行くことができないのが最近の悩みですが、そんな日が続いている中で、だんだんと「行かない方が楽かな」と思うことも多くなりました。
山へ行かないことが辛かったのが、山へ行こうとすることが辛くなり始め、こうやって山から遠ざかるのだろうと思うと、特に行きたい山もなく、急に山へ行く機会ができたときにどうしたら良いものかと悩みます。
そんな中で決めたのが有明山。
安曇野にある2200mほどの山です。
北アルプスの前衛にある山ですが、富士山のような形と、街から近いということでとても存在感があり、古くから信仰を集めていた山です。
日本二百名山や信州百名山にも数えられるため、以前はスタンプラリー的に登りたいと考えていました。
登山時間は最寄りの登山口から2時間ほど登り、下りは1時間半と計算し、比較的短時間で登り下りできそうなので、家庭の用事や仕事に負担がなく登れそうだと。
すっかりその思いも忘れていましたが、古くなった気持ちを呼び起こして、登山予定に有明山を押し込みました。
有明山には中房温泉から登ります。
高速道路を安曇野ICで下りて30〜45分ほど、燕岳へ登る合戦尾根と同じ駐車場を目指します。
シーズンは夏休み真っ盛りの週末。
予定していた中房温泉まで車を乗り入れることができず、穂高温泉郷で止められ、そこから乗合タクシーで向かうことになりました。
登山開始は7時か7時半ごろだろうと予定していたのが、この時点で1時間押し。
しかも登山口に着くまでの交通費で1000円の上乗せで、計画通りピストンをすればさらに1000円で合計2000円の出費。
タクシーを待つ駐車場で地図を確認し、山頂からのピストンではなく穂高温泉郷へと下りる登山道を見つけて、計画を変更しました。
距離や高低差を考えて、おそらく2時間から3時間の間で下りられるはず。
下山してからは車道を3キロほど歩けば駐車場に着くので、帰りの1000円は浮かせられる。
そうして登ったのが有明山でした。
https://tozan100kei.com/route/ariakeyama-uratozando.php
https://tozan100kei.com/route/okuhotakadake-dakesawa.php
上高地から岳沢を通って山頂へ、下山は白出沢を通って新穂高へ。
この計画を立てたのは2017年の夏でした。
1年越しの計画は、そのままそっとしまっておこうと思う気持ちと、穂高岳の最も高いところに立ちたいという欲求とが葛藤していました。
気持ちも体調も充実していた1年前は台風のために断念し、だんだんと冷めていくなかで「行けるうちに行かなければ行かなくなる」という思いも強くなりました。
穂高岳は2008年に連れられて登った涸沢カールから眺めた思い出のある山です。
その山名も生まれ育った土地に似て、登山を始めた頃から特別な思い入れを持っていました。
誰かに話を聞けば槍ヶ岳に憧れる言葉を耳にする中で、僕は穂高岳へ行きたいと思ってきました。
登山に多くの時間を割くことができない前提で登るには、どこから登れば負荷が少なく自分に合っているのか。
それが重太郎新道を登ることでした。
日帰りで計画を立てましたが、そもそもコースタイムでは1泊2日が必要で。
計画の通りに下りてくることができない想定もし、少しでもバスの時間が遅い新穂高へ下りるのが良いだろう。
ザイテングラードから涸沢へ下りるよりも時間は少なく、重太郎新道のピストンよりも安全性も高いと考え、上高地から新穂高という穂高岳越えのルートになりました。
上高地からの出発は6時と計画、ただ早いに越したことはないので始発のバスに乗れるように準備をし、5時20分には登山口に立つことができました。
細かくタイムスケジュールを立て、それを上回るような行程になったら引き返すつもりで、登山計画書を書いて残してきました。
https://tozan100kei.com/route/okuhotakadake-dakesawa.php