里山からアルプスまで
全国の山々には、日本百名山や花の百名山だけではなく、その土地ならではの百名山や百山などの代表的な山々が連ねたものがあります。
中でも信州は、日本百名山に数えられる山が多く聳えていることもあってか、信州百名山に数えられる山も特徴的な名山が多くみられます。
北アルプスの盟主といえる槍ヶ岳や穂高岳だけではなく、中央アルプスや南アルプスにも連なる峰が信州百名山に数えられています。
かと思えば、上田市の太郎山や、千曲市の冠着山のような里山も、地域に愛される山として数えられています。
これだけバラエティのある特徴豊かな百名山も珍しいのではないかと思います。
たとえば非常に人気の高い燕岳も信州百名山のひとつです。
長野県は海が無い県ですが、内陸にあるからこそ平均して標高が高いところです。
標高を平均すると1,000m以上もあるそうで、もちろん主要な市街地は標高が低いところが多いですが、長野市でも県庁のあるところは362mほどだそうです。
北アルプスや南アルプス、八ヶ岳などの標高の高い山岳が県境にあり、面積の74%以上が森林だということで標高の高い地形だともいえるのだと思います。
日本アルプスがあるということや、日本百名山がアルプスに集中していることなど長野県には取り上げられる名山が多いのですが、アルプス以外にも登りたい山があります。
今回はあえて日本百名山やアルプスを外して、印象に残った山をピックアップしてみたいと思います。
男山
長野県東南部、川上村にある鋭峰です。
高低差がそう高くはありませんが、その特徴的な形からの存在感、八ヶ岳への展望台として眺望など、まさに隠れた名峰です。
五郎山
奥秩父にある山で、山体全体は川上村に属しています。
周りには金峰山や甲武信ヶ岳があって目立たない存在ですが、標高は2000mを越え、登山道は急登と険しい岩峰が続きます。
景色を楽しむというよりは変化に富んだ登山道を楽しむといった印象ですが、落葉松がとても美しいので季節を変えて訪れたい山です。
佐渡山
妙高山や高妻山、黒姫山といった知られる名山に囲まれた山です。
標高2000mに達しない山で、藪山のために積雪期のみ登ることができるのですが、山頂からは周囲の山を大迫力で望めます。
山頂までの長い尾根歩きと、どこよりも大きく見える高妻山、レアな黒姫山の後ろ姿など見どころが多い山です。
そういえばこんな山もオススメです。
雨飾山といえば、いわずとしれた日本百名山のひとつで、長野と新潟の県境に聳える山です。
その名前の美しさや、長野県側からの登山道にあるブナ林の美しさなど、人気の高い山のひとつです。
オススメルート
参考コースタイム:登り4時間(登山情報サイトYamakei Online)
秘境とも形容される長野県北部の豪雪地帯「秋山郷」に聳える山です。
両翼を広げたような山容で、その北面は崩落のため大きく切れ落ちています。
山全体が樹林帯に覆われていますが、その崩落のおかげで苗場山方面への眺望がよく、樹木の美しさと眺望を同時に楽しめます。
オススメルート
山頂からの展望の良さや、最短のコースタイムで2時間を切る気軽さなどから、季節を問わず登られる山です。
間近に見える八ヶ岳と、その先に並ぶ南アルプスの稜線などの眺望が楽しめます。
またシャクナゲの群生地のため、5月下旬から6月上旬にかけて、花のトンネルのような登山道が楽しめます。
オススメルート
参考コースタイム:登り3時間半(登山口看板)
比較的、歩きやすくて街からも近い山。
朝、麓の市街地を出発する予定でも、天気の確認をしてから向かうことができます。
2000m級の山々が並び、遊歩道が整備された志賀高原の中でも、比較的登山らしいコースが続きます。
長野や群馬の奥に広がる山深い景色が楽しめ、さらには志賀高原最高峰の裏志賀山へと稜線を歩くことができます。
志賀高原には様々な眺望スポットがありますが、岩菅山からの眺望がもっとも楽しめる場所かもしれません。
オススメルート
参考コースタイム:登り2時間半(長野県山岳連盟)
長野県上田市に聳える里山で、標高は1266mほどの山です。
街から近く登山口も登りやすい場所にあるのですが、実は「信州の妙義山」とも例えられるほど険しい岩峰が連なる山でもあります。
一般的な登山道は東西南北に1本ずつ、そこに加えてバリエーションがいくつかあります。
オススメルート
参考コースタイム:登り1時間半強(信濃毎日新聞 信州山岳ガイド)
特徴的な台形の山容が美しい山です。
街から近く見える山頂部や、山頂から見る眼下に街が近く見えるところなど、里に近く親しまれる山という印象があります。
その昔、城が建てられていたということや、神社の奥宮が置かれていることなど、近隣の生活に古くから関わっていた山です。
オススメルート
参考コースタイム:登り1時間半(青木村)
長野県飯山市と新潟県上越市との境にある山で、非常に雪が深く、バックカントリーなどでも知られています。
信越トレイルの一部にもなっているため、コースもよく整備され歩きやすくなっています。
山頂含め山全体が樹林帯に覆われているため、登山道の雰囲気や緑を楽しむのに向いています。
オススメルート
準備も体調もしっかり整えておきたい。
難易度の高い山。
戸隠といえば知名度の高い山のひとつですが、その要因には「蟻の塔渡り」という高難度のナイフリッジがあることが挙げられると思います。
信仰の山としても知られていますが、山域を通して高難度の箇所が点在します。
オススメルート
参考コースタイム:登り2時間10分(登山情報サイトYamakei Online)
里山ですが奥信濃の知られざる名山といえます。
標高は1203mですが、それよりも高い山が囲んでいるため、街から見る姿はそう存在感も高くありません。
しかし麓から登山道へと続く石仏や、細く脆い尾根道など、見どころと気の抜けないところとが混在する魅力のある山です。
オススメルート
長野県東南部の川上村にある2000mあまりの山です。
標高が高く山頂へと続く岩峰のかっこよさなど特徴的な山なのですが、甲武信ヶ岳や金峰山などの日本百名山が周囲にあるせいか知名度は高くありません。
オススメルート
山へ行く前に、その山がどんな山なのか、どんな登山道があるのか。
自分の力量やその日の天候はどうなのか、など、調べておきたいことや知っておきたいことはたくさんあります。
長野県では、「信州山のグレーティング」として、主要な登山道の難易度を発表しています。
他にも様々な登山情報を発信しているサイトがありますので、向かう前に情報として入手しておくことをおすすめします。